y -慣れ、だれ、崩れ- ページ22
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今年のお盆休み。
幼馴染の"ワタちゃん"が、仕事の合間を縫って実家に帰ってくる、らしい。
私もこのお盆のタイミングで久々に実家に帰って来ていたから
人伝いに聞いたその事実にビックリする。
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ワタちゃんが帰ってくるとなれば、近所の人たちがわらわら集まり、
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「渉くん帰ってくるってよ!」
「あらまあ!渉くんが!」
「何年ぶりかしら?!」
「忙しいのに偉いねえ〜」
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ワタちゃんの話で大いに盛り上がる。
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ここら辺に同年代の子って全然いなくて。
昔は毎日のように2人で遊んでいたし、
ワタちゃんちで夜ご飯ご馳走になって、そのまま一緒にお風呂はいって泊まる。
なんてこともしょっちゅうしてた。
…まあ小学生の頃の話だけど。
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幼いながらにワタちゃんに恋心を抱いていた私は、
いつか絶対ワタちゃんと結婚するんだ!って意気込んでたのに。
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実家のテレビを見ながら、またため息。
画面の中には、ワタちゃん。
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「あら、渉くんじゃない!お母さん藤ヶ谷くんに会いたいから渉くんに頼んじゃおうかしら」
ふらっとテレビを覗きにきた母が、そんなことを言う。
「そういうのワタちゃん嫌がると思うよ」
「冗談よ、冗談(笑)もー渉くんのことになると急に元気なくなるんだから、変な子。」
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ずーっと一緒に遊んでいた幼馴染のワタちゃんは、
今や知らない人はいないほどの人気者。
このあたりの人たちはみんな自分のことのように喜んで、ワタちゃんが出ていた番組の話で盛り上がるのが日常茶飯事。
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私は...
なんか、見たくない。
見てられない。
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ワタちゃんを遠くに感じるのが、とてつもなく嫌で。
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そんなことワタちゃんに言ったら怒るだろうな。
"Aは俺のなんなの?"
嫌そうな顔して、そんなこと言われちゃうかもしれない。
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小さい頃からずっとそう。
私の想いは完全なる一方通行で。
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お盆休み...帰って来るの...
ワタちゃんが...?
もう3年振りとかかもしれない。
全く連絡も取ってないし。
どんな顔して会えばいいんだろう、って
別に喧嘩したわけでもないのにそればっかり心配してしまう。
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『慣れ、だれ、崩れ』
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作者名:コツメ | 作成日時:2019年6月10日 22時