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｢そうか。それもお前が精神支配を信じる所以か。｣
｢もし、その種族に君臨し貴族と呼ばれるノブレスだとしたら....｡｣
｢報告するか？貴族と判断したやつらがここにいるということは重要な情報だ。｣
しかし、ノブレスを利用して組織からの脱却を図り自由を得るためにはこれは好都合。
ふたりはこのチャンスを逃してはならないとわかっていたが念のためとM-21に確認した。
M-21は勿論、ニヤリと笑みを浮かべ
｢その必要はない｣
と言った。
｢チッ....｡お前ってヤツは。これを報告しなかったことを上が知ったら、俺たちはただじゃ済まねぇぞ｡｣
M-24も同じように笑った。
二人が気づかない別のビルの屋上、
女と男が降り立った。
ジェイクとマリ。
ふたりは、M-21とM-24に今回の任務を任せた張本人だった。
ふたりは、長らく報告もない二人の現状を確認しに来たのだ。
｢あの二人は報告もせずに、こんなところでなにやってるんだ？｣
白いファーがついたグレーのコートを纏ったジェイクはタバコを燻らしながら二人を見下ろした。
｢世話が焼けるぜ。｣
翌朝、学校だったのだが、前日の事件で巻き込まれたメンバーはフランケンシュタインの計らいでおやすみ。
なぜかライジェルとAも休まされ、ライジェルと二人で留守を任された。
潔癖性のフランケンシュタインであるため、田代達が来る以外はいつもピカピカで綺麗なのだが、殺風景で寂しい印象。
Aは私服で近くの花屋へ出掛け、季節の花を買い込む。
邸宅に帰ると華麗な手さばきで花を生け、適材適所にそれを飾る。
一段落ついて、もうお昼が近い頃。
｢ライジェルはまだ出てこないのかしら？｣
朝から一度も顔を見ていない。
自室の隣がライジェルの部屋。
何故か少しだけ空いていたのでそっと覗いてみた。
部屋の中にいたライジェルはカーテンを開いた窓辺でただ空を仰いでいた。
その姿は、昔のまま何も変わらずタイムスリップしたかのよう。
憂いを帯びた横顔は、どこかでまだあの戦闘の事を考えているように思えた。
声をかけようか迷っていると
ライジェルがゆっくりこちらを向く。
｢A？どうして泣いている...｡｣
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作者名：まりも。 | 作成日時：2019年5月30日 9時
