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Break 3 ページ3

「なぁ、中也。飯食いに行こ?」


書類に記述をしていた俺に、先輩が云う。


雲がオレンジに染まり、流れていく
夕焼け空を見ながら、俺は答えた。



中「俺が何やってるか判らないのか。」


「判るよ?だから、手伝ってやろうかって言ってんの。」


遠回しに、書類を手伝ってくれるらしい事を
言った先輩に、甘えのつもりで無言で束を渡す。

先輩は厭な顔一つせずに、書類に目を伏せた。



中「‥‥すまん。」


「へ?なに。」


中「だから、悪いなって。手伝わせて。」


「‥‥うん。」



俺は灯の点った部屋の中を見回し、
また先輩に視線を戻した。

そう言えば、どうして先輩は
俺の事を助けてくれるんだろう。


先輩とて、俺が先輩を良く思っていないというか、そんな事に気づいているはずだ。



中「なぁ、先輩。
なんで、先輩は俺をいつも助けるんだ?」


「助ける?そんなつもりは無いよ。
俺がしてるのは、先輩としての仕事だから。」



部下を見捨てる先輩が居ますか?と
先輩は不思議そうに言った。


どうして、そんな当たり前みたいに
言うことが出来るんだろう。


仕事の出来ない奴は切り捨てる、
それが今の社会だと思う。


けれど、それが出来ない程お人好しで、
馬鹿みたいに人思いなのが先輩だ。


「ほい。出来たぞー。」


先輩は束を此方に渡すと、ニコリと笑った。

俺はおお、と其れ等を受け取り、
自分の分と一緒に束ねた。


中「終わったぞ。どこ行くんだ?」


「うん、いつものとこがいい。」


中「はいはい。」



いつものとこ、それだけで通じるぐらいには
先輩と何回も酒を交わした。


先輩はアルコール度数のバカ高い酒を
何杯も何杯もグラスで飲み干す。


それでも酔わない。


CMに出れそうなぐらいの飲みっぷりで、
俺にとって良い飲み仲間だ。


先輩はいつも酔った俺を介抱してくれて、
部屋まで運んでくれる。


これも、先輩のいう「仕事」の内に入るのだろうか。


俺は隣を歩くデカい奴を見上げてクスと笑った。

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百鬼レヴェル(プロフ) - 鏡夜さん» こちらこそありがとうございます^^沢山読んで頂けているんですね!嬉しいです!ご依頼とあらば受け付けますよ(小声) (2017年2月14日 6時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
鏡夜(プロフ) - 百鬼レヴェルさん» そうなんですか!有難うございます´`** レヴェルさんの作品はどれも面白いし、関係性がすっごいタイプ…というかこの関係性が大好きです…!!r指定も読みたいです(ボソッ) (2017年2月13日 23時) (レス) id: 65bae456c3 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼レヴェル(プロフ) - 鏡夜さん» コメントありがとうございます^^鏡夜さんの作品拝見させて頂いております!応援頂けて嬉しいです! (2017年2月13日 19時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
鏡夜(プロフ) - こんにちは!はじめまして!凄く内容が濃くて面白いです…!勢いで全部読んじゃいました笑 完璧な先輩とか中也さんとか、本当に格好良いです… 応援してます!! (2017年2月7日 17時) (レス) id: 65bae456c3 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼レヴェル(プロフ) - 吾亦紅@サキマキさん» そう言って頂けて嬉しいです!完璧な人間の裏の顔を必死に模索しながら書いています(笑) (2017年1月20日 6時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百鬼レヴェル x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/28283/  
作成日時:2017年1月17日 19時

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