another story ページ13
あれから先輩は、今まで以上に笑うようになった。
その理由は至って簡単である。
幸せを見つけたから。
自分を発見し、見当った生き方を見つけたのだ。
俺はそれに貢献できたのが何より喜ばしい。
偽りのない、無理のないその笑顔を見るたび、
尊敬なんて言葉じゃ到底足りないような感動が押し寄せる。
その感情の名を知ることは未だ叶わないが。
いや、もう二度と叶わないであろう。
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
ここで、俺の日記は終わる。
最後のページ、そこには二人で撮った写真が貼ってある。
季節は巡り、俺は気づけば、もう３０を超えていた。
マフィアの中でもまあまあな古株だ。
ついに、先輩の歳をも越してしまった。
人間として成長を重ねる度、俺はいつも気づく。
どう頑張っても、先輩には遠くおよばねんだって。
それぐらい、あの人が凄まじい努力をしたということだろう。
先輩は、マフィアとして人生を過ごした。
それこそ、ほんとに体が使い物にならなくなるまで。
先輩は、病気で死んだ。
もう末期で、助からなかった。
でも、他ならぬ先輩自身が、助かることを
望んでいなかったように思う。
だって、先輩は、来るもの拒まずって笑ってたから。
たとえそれが、いつか平等に訪れる死でも。
あの人は死ぬ間際まで、俺以外に完璧の秘密を教えることはなかった。
中也と俺だけの特別な、なんて言って、結局はそのまま逝っちまった。
でも、今となっては、べつにそれでも良かったんじゃあ
ないかって思う。
先輩が俺だけに託した言葉だって、実感できるから。
先輩は手紙に同封されていたあのブレスレットを外し、
中也となんかお揃いにしたいな、なんて言って笑った。
その証拠に、いま俺の指には、シルバーのリングが嵌められている。
そして、死ぬまさにその時まで、俺がこれを
外す日は、やってこないことだろう。
終わり
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百鬼レヴェル(プロフ) - 鏡夜さん» こちらこそありがとうございます^^沢山読んで頂けているんですね！嬉しいです！ご依頼とあらば受け付けますよ(小声) (2017年2月14日 6時) (
レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
鏡夜(プロフ) - 百鬼レヴェルさん» そうなんですか！有難うございます´`** レヴェルさんの作品はどれも面白いし、関係性がすっごいタイプ…というかこの関係性が大好きです…！！r指定も読みたいです(ﾎﾞｿｯ) (2017年2月13日 23時) (レス) id: 65bae456c3 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼レヴェル(プロフ) - 鏡夜さん» コメントありがとうございます^^鏡夜さんの作品拝見させて頂いております！応援頂けて嬉しいです！ (2017年2月13日 19時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
鏡夜(プロフ) - こんにちは！はじめまして！凄く内容が濃くて面白いです…！勢いで全部読んじゃいました笑 完璧な先輩とか中也さんとか、本当に格好良いです… 応援してます！！ (2017年2月7日 17時) (レス) id: 65bae456c3 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼レヴェル(プロフ) - 吾亦紅@サキマキさん» そう言って頂けて嬉しいです！完璧な人間の裏の顔を必死に模索しながら書いています(笑) (2017年1月20日 6時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百鬼レヴェル x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/28283/
作成日時：2017年1月17日 19時
