・ ページ42
経験も技術も勝ってる
クロのスパイクに食らいつく月島君が
今度はスパイク体勢に入り
リエーフ君と高さ対決
レシーブに伸ばしたクロの腕の少し手前
コートに落ちた球
“最近のバレーはどうだい？”
(…月島君、こんな風に笑えたのね)
煽りでも意地悪でもない
心からバレーを楽しんでいる
そんな笑顔
(本当、皆楽しそうにしちゃって…)
いつもよりずっと動き回って
脳も体も限界なんて越してるはずなのに
(研磨の集中が切れない…)
普段ならとっくにバテてくる頃なんだけど
そして、夜久君と交代で出入りするクロも
一切途切れることのない集中
コートに釘付けで
こっちのことなんて見えてないみたい
音駒ブロックの手で弾かれた球は勢いよく飛び出し
ベンチに倒れ込む勢いで福永くんがレシーブを上げ
高く上がるパス
(…くる)
“一人時間差”
最初はタイミングを合わせるのが下手っぴで
からぶってばかりだった技
コーコーセーくらいには俺たちの立派な必殺技になる！
クロの宣言通り
しっかりハマった攻撃を
烏野リベロの西谷君が上げた
(音駒顔負けのレシーブ力なんだよな…)
クロ達の3枚ブロックを避けた翔陽君のフェイントを
読んでいた研磨が前に飛び出して
『え、!?』
フェイントに見せかけたロングプッシュ
｢……｣
着地した研磨が
そのままペチャっと床に崩れ
｢おい研磨大丈夫か!?
どっかやったか？｣
クロが慌てて駆け寄る
｢…たーのしー｣
この試合は、きっと誰がどう見ても
皆が楽しんでいるようにしか見えなくて
だけど
ー
『研磨、バレー楽しい？』
｢普通かな｣
ー
【別に】とか【普通】とか
何を聞いてもそれしか返ってこなかった研磨の口から
“楽しい”なんて言葉が出てきたことに
｢お前ら、親か！｣
私もクロも
｢やっくんだってすげえ顔してたけど？｣
｢そりゃ、そうなるだろ｣
音駒みんなも
驚かずにはいられなくて
嬉しそうに天井を仰いで笑うクロ
｢おいAなんて泣きそうになってんじゃねーか笑｣
研磨も、クロも
彼らの感情を揺さぶるのはいつだってバレーボールで
(どうして、男の子じゃなかったんだろ)
どうして、私は普通に生まれて来れなかったんだろう
彼らの隣に並ぶ夢など
とっくに諦めたはずなのに
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りな∞(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます！やっとゴミ捨て場の決戦まで来れました🥰今後の展開も楽しんで頂けるように頑張ります💓 (4月15日 0時) (
レス) id: 2e61ee43e2 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - もう、どうなっていくのか、想像がつきませんこれからも頑張ってください！！ (4月14日 22時) (レス) @page33 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
りな∞(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます！ぜひバグり馴染み達の今後を一緒にお楽しみください🙌 (4月1日 14時) (レス) id: 071d7e6dbd (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 続き楽しみにしてますこれからどうなっていくのか楽しみです。応援してます (4月1日 0時) (レス) @page23 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
りな∞(プロフ) - みおさん» コメントありがとうございます！幼なじみと黒猫の関係も踏まえて今後も楽しんで頂けると嬉しいです💓 (3月23日 18時) (レス) id: a2c38d3b09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りな∞
| 作成日時：2024年3月14日 9時
