淡雪が溶ける頃3【HQ】/稲荷崎

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〜No side


「侑、課題どんくらい終わっとるんや」


「!?」


「名指し…(笑)」

下を向いて顔を隠した角名が肩を震わせる



「は、8割方…」


(それ残ってる方やろ)

この場の全員が心の中でツッコミを入れた

「そうか、頑張っとるやん
この調子ではよ終わらせぇ」


「、はい！」


「最終日までためとって寝不足でプレーに支障きたすような事があったら…

分かっとるよな？」


「ﾋｬｲ!」

・

・

・


「アカン！シューズにドリンクこぼしてもうた」

尾白が慌ててシューズを脱ぐと
ひょっこりのぞく靴下の穴


『アランさん、おはよう靴下ですね』

「…へ？」


『え？』



「「え？」」

1カット
目をまん丸にする尾白アラン


2カット
その反応に固まる南 A


3カット
どこからかわいてきたキョトン顔の宮兄弟



「今なんて？」

「おはよう靴下!?」


『こっちで言わないの!?』

※宮城の言い回しで、穴あき靴下の意



「A、もっかいいって」

カメラを構える角名と


『無茶言わないで』


シューズを投げ捨て、親指で靴下に穴あける侑


「Aちゃん！みてぇ！俺は！？」


『何してんの』





「なんの騒ぎや
片付け終わっとるんならはよ着替えて帰る支度せえ」



鶴の一声で次々引き上げていく体育館


稲荷崎高校バレー部は今日も平和である



・・・



「Aちゃんが方言使うとるのなんか意外やわ！」

「あんまり訛ってるイメージないもんな」

「にしてもおはよう靴下、て
可愛ええな」


『こっちでは言わないんだね』


「こっちどころか宮城意外で使わんのやろ？」




『ていうか侑、靴下どうするの』


「え、あー、」


普段から食べこぼしやケンカで服を汚す双子の母親に
故意に破いたことなどがバレれば大目玉


歯切れの悪い侑


『…縫ってくるから、貸して』

「え゛」

侑はブンブンと大きく首を振る

「し、使用済みはさすがに勘弁してぇ
汗かいとるし…」

『洗濯してから縫うに決まってるでしょ』


「で、でもぉ」

『自分で縫えるの？それともお母さんに大人しく謝る？』


「…ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ」



「人でなしにも恥ずかしむとか人の心あったんやな」


「あぁん？」


「いや、人のこと慮れんやつが一丁前に自分の心は繊細とか図々しいな〜思うただけや」

「サム！お前はもっとビブラートに包めや！」


『オブラートでしょ。響かせてどうするの』

｢グッ！｣


｢むり、辞めて侑。お腹痛いw｣


そんな2年生ズの帰り道

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