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最後に飛雄と話したのは

彼の祖父、一与さんのお葬式の時だった

家族ぐるみで仲が良く

家をほとんど空けている私の両親の代わりに

美羽ちゃんや、一与さんは良く相手をしてくれた

飛雄は物心ついた時からバレーが大好きで


時間の許す限り、ずっとボールに触っていた


「Aちゃんはバレーやんないの?」

『…私は、下手くそだからいい』

「?」

『私とやっても飛雄も楽しくないよ』

「俺はAちゃんが上手くても下手くそでもバレーさえ出来るなら楽しい」

『…慰めになってないから』

私も昔、バレーを少しだけ教わったことがあった






『バレーボール、楽しくない…』


「もうやめよう
これじゃ俺も楽しくない」




トラウマみたいにチクチクと

バレーが苦手になったあの日の事が頭に浮かぶ







お葬式の日、私たちはほとんど会話をすることはなく


「Aもよかったらまた試合見に行ってあげ___」

「来なくていい」


飛雄は私と目を合わせなかった


私が先に彼を突き放したんだから、当たり前だと思った



美羽ちゃんは慌ててたけど


『いいの、』

「…なにかあったの?あの飛雄(バカ)が何かした?」

『ううん。私のせい』



“3年生にすごいサーブ打つ人がいる
トスもうまい。でも教えてくれない”

一与さんの病室で飛雄が口を尖らせた時

“そりゃあお前、チームメイトと言えどライバルだからな!”

その言葉に飛雄は納得したような、嬉しそうな顔をした

認められているということだ、と認識したからだろう


(私には、そんな言葉は出てこないし
言えない)


先輩からの当たりのきつさに

同級生と上手くいかないチームワークのひびに


飛雄が悩んでいたのは、分かってたのに


(そのくらい、悩めばいいんだ)


いつも飄々としていたあの子に嫉妬して


「できないなら、出来るまで練習する。それだけだ」

彼の努力から、目を背けて


天才(飛雄)凡人()は違うのだと区別して


楽になりたかった


“飛雄、じいちゃんちょっと疲れたから明日でもいい?”

“うん、”


一与さんの容態が悪化してから


『飛雄、今帰り?』

「自主練してた」

『1人?みんなは?』

「帰った。限界なんだと」

『1人で何してたの?』

「サーブ練習」

『…それ、大丈夫なの?』

「?なにが?」


もっと上手な伝え方があったと今は思う

だけどあの時の私は


(どうせ、飛雄には分からない)

普通のフリをするだけで精一杯だった

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りな∞(プロフ) - あめみやさん» おはよう靴下は宮城と1部東北?地方特有らしいです😳穴あき靴下って言うより可愛いですよね💓 (3月4日 18時) (レス) id: 77d3b1abb5 (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - おはよう靴下ってもしかして全国共通じゃないんですか……? (3月4日 11時) (レス) @page32 id: c8e075c880 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年12月13日 13時

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