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ページ39

「正月やな」

「正月や」

「正月と言えば?」


双子の会話に倫がまた始まった、と顔を顰める

「正月と言えば餅やろ」

「お前はほんまに食いもんばっかやな
小学生か」

「そういうツムはなんなん」

「お年玉やろ」

「お前かて小学生やんけ」


吐き出した白い息が空に溶ける


前を歩いていた2人がぐるんと振り向いて

「Aは?」

治が聞く


『駅伝?』

「あぁー」

「次、角名」

「正月はゆっくりするって決めてるから絶対アポ無しで凸ってこないでね」

「質問の答えになってへん!」

「銀は?」

「そやなぁ。初詣とか」

「「初詣!」」

双子は目を輝かせて

「初詣行こうや!」

「俺パス」

「10時に角名の部屋の前集合な!」

「話聞いてる?」

「アポ取ったから問題ないやろ」

「露店出とるかな」

「大っきいとこなら出てるんちゃう?」

「夏祭りの二の舞になるから小さいとこでいーじゃん」

「元日って混むよなぁ」

「人混み嫌いなんだけど」


ぼーっとみんなの会話を聞いていると


「Aは?予定とか平気なん?」

銀に覗き込まれて慌てて頷く

「ほんなら、5人で初詣やな」

『うん』

「結局、年内最後も年始1番もこいつらかー」

「なんやねん角名、照れるやんけ」

「侑はこのニュアンスからどんなポジティブな解釈してんの?」


私の路線のバス停について
当たり前に、バスが来るまで皆でだべって


乗り込む私を見送りながら

「ほな、また明日なーA」
「あ、良いお年をー」
「明日会うけどね」
「来年もよろしゅうー」

バスが発車するまで見送ってくれる4人


楽しくて、嬉しくて、くすぐったいような不思議な気持ち




「お、キツネそばや」

『稲荷崎だからね』


年末の某歌番組を見ていたお父さんは
ポカンとした顔で私を見つめる

『なに?』

「いや…。Aは稲荷崎大好きなんやな」

ふ、と嬉しそうに目を細めて


「最初に稲荷崎に行くって聞いた時も、バレー部に入るって聞いた時も驚いたけど…

ええ仲間に囲まれて、良かったなぁ」

『…うん』


「飛雄君があんなに言うてもバレーにはなびかへんかったのにな」


『自分がやるのとは別だし』


それに

稲荷崎との出会いは、北さんで

バレーとの出会いは桃ちゃんのおかげだ


続けて鳴り響く通知音

見なくても分かる

双子がくだらない事で騒いでるんだろう

呆れながら手にとって

期待を裏切らない2人に振り回されながら
多分、私は

そんな今の自分が嫌いじゃない

【年末年始の稲荷たち】→←・



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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時

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