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ページ28

〜side Atsumu

机に伏せていると、聞き覚えのある声が近付いてくる

いつも先に銀やサムの教室でアイツらと別れるけど


「お、侑ほんまにおるやん」

「あいつが俺も起こせって言うてきてん」

2人の声もする


無愛想で美人なAちゃんの周りを
隙なんて与えへんとでもいうように囲む大男達


『侑、寝てたの?』

「んー今起きた」

『机、固くて寝辛いでしょ』

俺の顔を覗き込むAちゃんの目は赤くて

(泣いたんかな)

昨日俺の前では1度も泣かへんかったのに


「ツム」

「なんや」

「…頼むで」

「分かっとるわ」

サムと銀は教室に戻っていき

「ブランケット貸して…」

『今からそんなんで冬どうやって耐えるの?』

角名も理由をつけてAちゃんの傍におる


『侑』

「ん?」

『試合のビデオと一緒に昨日解析したノート持っていったら絶賛されたよ』

「俺、呟いてただけやけどな」

『だけどあれは私には出来ないもの』

北さんに褒められた、と嬉しそうに頬を緩める君に


「ごめん」

『なにが?』

「…ホンマに、ごめん」

『だから何が?』

顔を合わせられなくてもう一度伏せる

『寝ぼけてるの?』



元カノ(あいつ)はあっさりと認めた

「なんでこんなことしたん、」

「なんでって侑君が1番分かってるんちゃうん?」

彼女の言葉に何も言い返す事が出来んかった

「侑君は、1度も私の事見てくれたことなかったよな」

「…え、」

「私の話にも、私の存在にも興味なんてなかった

それでも良かってん

バレーしとる侑君が好きやったから
最初からバレーに勝てるなんて思うてなかったし」

「……」

「ヒーロー気取ってお姫様を守るん、楽しかった?」

「は、」

「私が侑君をどんだけ悪く言おうが全く気にせんやろ?

でも自分のせいで南さんが傷ついたらもっと傷つく」

「…お前、最低やな」

「最低でええよ
侑君の記憶に残れるなら」

「意味わからん」

「全部侑君のせいやで」




池野殴って

傷ついたAちゃんを家まで送って

普段冷静な彼女の取り乱した一面を見て
誰も知らんやろう家庭や過去の話を聞いて

俺だけが知っている彼女の秘密だと

こんな状況ですらどこか
優越感を感じとった


いくら謝っても足りひん
何をしても償いきれない

俺の身勝手であいつも、Aちゃんも傷つけた


もう二度と

Aちゃんを独り占めしたいなんて思わへん

やから、

『先生来るよ。起きて』

ちゃんと仲間でいるから、側にいさして

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時

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