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〜side Atsumu
(あいつ何組やっけ)
いつもあいつが俺のクラスまで迎えに来て
俺のクラスの前で別れて
(俺からあの子のとこ行ったことあったっけ)
全クラス回ろうと考えていた時
「なあ、ちょっとええ」
いつも元カノと一緒におった名前も忘れた天パの子
「う、うちは関係ないです!
言われた通りに貼るの手伝っただけやしっ
そもそも侑くんがちゃんと向き合ってあげへんかったから…」
「貼るの手伝うって何の話?」
「ぁ、」
何となく、そうやろなって
さっきの話を聞いて分かっとった
「あいつ、呼んできてくれへん?」
・・・
俺の誕生日のあの日
昼休みにプレゼントをくれた彼女は
「今日帰り待っとるから一緒に帰られへん?」
「あー、悪いけど自主練もしてくし帰るん遅なるから
話しやったら今聞くで?」
「待ってる」
「は、ちょ……」
まさかほんまに待ってるなんて思わへんかったから
1人でずっと俺を待っとったのかと思うと意地らしくて
彼女を送って行きながら話をした
案の定の告白は断って
それで終わりやと思ったのに
「やっぱり南さんが好きやから?」
「は?別に好きやないけど」
「皆言うてた。侑君は南さんが好きやって」
別にあいつのことを好きな訳やない
だから、付き合うなんて全然余裕や
この子は顔もかわええし
面倒なことも言わんて約束してくれたし
サムより先に彼女作ったんねん
適当な、邪な気持ちで彼女の好意を利用しようとした俺に
天罰が当たったんやと思う
自分でもほんまは少し分かっとった
Aちゃんが特別なことくらい
Aちゃんにとって、俺は部活の一員で
“特別”やないことも
やから、目を逸らしたくて
隠したくて
【俺はAちゃんのこと好きなわけやない】
「治くんたちって毎日みんなで帰っとるん?」
「おん」
「でも家の方向ちゃうやろ? 」
「みんなでコンビニ寄って、Aちゃんのバス停まで行くねん」
「へぇ…仲良しなんやね」
「仲良しっちゅーか、いつの間にか当たり前になってただけやけどな」
「そっかぁ
私帰宅部やからそういうの羨ましいわ」
「そうか?」
思い返せばいつも
「侑君、なんで南って呼ばれてるの?」
「小テストん時名前書き間違えてん
アイツら一生からかってきよって…」
「…仲良しやねぇ」
あいつはバレー部の話をようしとった
ほんまに聞きたかったんは、バレー部やなくて
Aちゃんのことやったんやな
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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時