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侑が見ていたのは偵察用に撮影した他校の試合のビデオ
『まだ、DVDに焼いてる途中なんだけど』
完成したら監督の元へ持っていき皆で分析、対策を行う
「見てもええ?」
『いいよ』
DVDをセットして試合が始まると
借りてきた猫のようにソワソワしていた侑も
「だぁー!なんで今のとりいかんねん!」
「ほーん、おもろい攻め方するやん」
「絶対アウトやろ、こんなん余裕で____入るんかい!」
楽しそうにしている
「安定したレシーブが強みのこーゆーとことはウチは相性悪いねんな…」
『厳しい?』
「負けへんで
やるのが楽しみってだけや。尚のこと燃えるやろ?」
『…』
私は彼のこういう顔が好きだ
試合の時もよく見せる
次は何をするんだろう、と
ゾクゾク、ワクワクする
侑が独り言のように呟くチームの特徴を書き留める
「何書いとるん?」
『侑が言ってたこと。参考になるかと思って』
「…俺こんなん言うてた?」
『言うてたから書いてるんでしょう』
無意識に飛び出した言葉だったようで、本人はあれぇ?と首を傾げている
ガチャ、とドアの開く音とドタバタ忙しない音
「A、帰ってるんか?」
『お父さん』
「オトウサン!?」
「学校から電話が___」
リビングに入ってきたお父さんといつの間にか正座している侑が対面する
「…?」
「……っ」
『あ、お父さんです』
「ハイ、存じておりマス
…そっくりですもんネ」
(北さんの前みたいになってる)
「お邪魔してます!ご挨拶遅れてすみませんっ!
ば、バレー部1年の宮 侑です!」
「…あぁ、バレー部の
Aの父です
Aがお世話になって…」
ぺこりと頭を下げ合う2人
「いや、お世話になってるのは俺らの方っていうか
お世話というより飼育されとるっていうか、」
「…ここまで送ってもらったんか?」
『…』
「よそ様にご迷惑かけんで、早う連絡してくれたら迎えに___」
『仕事仕事って家を開けてるのに迎えに来てなんて言えるわけないじゃん』
お父さんと侑が驚いたように目を丸めて私を見た
『そもそも…っ、お父さんのせいだし』
「…?」
『お父さんが、あんな人選んだから…っ
あの人と私なんか産んだからっ』
「Aちゃん!」
『…っ』
なんの事か分かっていないお父さんは驚いた顔をしていて
『お母さんの写真、貼られたの!
AV女優の娘だって』
「……なんで、」
『知らないよ!こっちが聞きたい!
…私は、お母さんとは別の人間なのにっ、』
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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年11月6日 1時