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「ほんで、この寄付金をどうするかっちゅー相談なんやけどな
信介にも声掛けたんやけど、お前に決めさせたらええって」
『…北さんが？』
「ネットやボール類の用具の入れ替えにはまだ早いし、南が必要やと思うもんがあれば検討したいと思うとるから
まあちょっと、考えてみてくれへんか」
『私でいいんですか？
選手に希望聞く方が…』
「アイツらはバレーやれたらそれでええねん
新しいもの好きやからなんでも新品にしたがるけど、それがええっちゅう訳でもないしな」
監督は苦笑して
「せやから、全体をよく見てて裏方で仕事してくれとる南に相談したんやろ
お前が必要やって思うもんはきっとウチにとって役に立つやろうからな」
そんな風に言って貰えるだけのことが出来ているか、と聞かれれば自信はない
「引き止めてすまんな、はよ皆のとこ戻り」
『皆？』
「あいつら、しっぽ揃えて待っとるやないか」
監督の言葉に振り向くと
「なー、何話してるんやろ」
「ツムに虐められたって告発ちゃう？」
「いじめてへんわ！」
「いやあれはいじめの域やった」
「せやから謝ったやんけ！」
「謝って済んだら警察要らないです〜」
「やんのかサム!!」
「なんやクソツム」
「お前ら喧嘩すんなって！」
「治、腹減ってるから気性荒いんだよ」
「角名も見てないで止めろや！」
ギャーギャー騒いでいる1年生組
呆気に取られる私に
「愛されとるな」
黒須監督が笑う
「信介が南なら大丈夫やって言うてた意味が今ならちゃんと分かるわ
めげずに頑張ってくれてありがとうな」
『…いえ』
侑と飛雄は違う人間で
飛雄への罪滅ぼしで、彼を重ねて侑に優しくするなんて
侑にも、飛雄にも失礼だ
そもそも、
「あ、来た。A、なんの話しやったん？」
銀に続いて
私に目を向けた侑が急に立ち上がる
「なんや！黒監に泣かされたんか!?」
オロオロしながら
「何言われたん？」
「なんか嫌なこと言われたか？」
と私の周りをうろちょろする侑は
「1番泣かせてたんツムのくせに」
治の一言で「うぐっ」と黙り込んだ
『嫌なことじゃないよ
…認めてもらえて、ちょっとグッときちゃっただけ』
私の言葉に4人はキョトンとして
「黒監、言うん遅いわ！」
「どの口が言うとんねん」
「なんやとサム！」
「Aー、おにぎり…
腹減って倒れそう」
ねえ、私
ここにいてもいいの？
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作者名：りな∞
| 作成日時：2023年11月6日 1時
