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「クソツム！ライン見ろや余計な手間かけさせよって」
「なんで、サムと…」
「彼女の管理くらい自分でせえや」
苛立った顔の治の後ろからひょこっと顔を出すのは
侑の彼女
「マネさんと一緒におったんや
侑くん、今日は映画見に行こって言うてたのになんで連絡くれへんの〜」
「ぁー、悪い」
「全然ええよ」
ニッコリ微笑むその笑顔に、ゾクリと冷汗が伝う
「治君に聞いたで、部の買い出しやったんやろ？」
溜息をついている治に目をやる
多分、倫が手を回してくれたんだろう
「委員会の角名君の代わりに侑君が付き合うてあげたんやろ？
侑君の優しいところええと思うもん」
「おん、ありがと…」
いつの間にかたい焼きは冷めきって、味がしない
「A、それ食わへんならちょーだい」
返事を聞く前に治が私の手元のたい焼きにかじりつく
3口ほどで完食すると
「ほな、またな」
と腕を掴んで引かれる
「は、お前ら帰るん？」
「当たり前やろ。邪魔者は退散するからデート楽しみや」
『治、ごめん。迷惑かけて』
歩くスピードを緩めた治は私の顔を見て言った
「Aのせいちゃうやん」
『…でも、』
「あのアホ元気づけようとしてくれたんやろ」
『…逆効果だったけど』
「そんな事ないと思うで
少なくともツム本人は、な」
『…？』
「買い出し行くんなら、何時でも呼びや
角名がおらん時でも……
角名がおる時でもええから」
『ん、ありがと』
その後、結局これ以上は無理だと根を上げた侑が別れを切り出し
泣いた彼女に春高に専念したいと押し切って
「俺はやっぱ、お前らとバカしてる方が楽しいみたいや、」
と戻ってきた
前と変わらない日常が帰ってきて
侑のサーブは未完成のまま
春高予選は順調に進み
県決勝で、練習中のジャンフロサーブを見事モノにした侑は
大きくガッツポーズをして
治と肩をつき合わせ
銀、倫とハイタッチをし
私の方へも手を向けた
「新しい武器が欲しいねん。全国で通用するやつ」
侑がずっとこだわって練習していたのを見てきていたから
感慨深いものもあり
『ナイスサーブ』
「しゃー！」
パチンと音を立ててハイタッチを交わした
無事県予選を1位通過で突破した稲荷崎
春高は3年生の最後の舞台
皆の集中の士気が高まっている頃、事件は起こった
「なぁ、これってガチなん？」
「顔そっくりやで」
「本人に聞いてみようや」
「なぁ、このAV女優、南のおかんってほんま？」
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作者名：りな∞
| 作成日時：2023年11月6日 1時
