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無事赤点を回避して迎えた夏休み


「あ、Aが結んどる」

肩につくくらい伸びてきた髪を結くと
猫のように治がじゃれ始める

『髪の毛で遊ぶの好きだね』

「なんかぴょこぴょこしてんねんもん」



蝉の声が激しくなって、いるだけで汗が止まらない夏本番

こまめに床を拭いて汗で滑らないように

毎日、同じことの繰り返しを

丁寧に


『北さん、全国の遠征準備についてなんですけど』

監督とも相談しながら、スポドリの粉やテーピングの量など荷物作りを始める

「こんなサイズのテーピングあったか?」

『それはアランさんが

少し前に色々試してみてこの伸縮の38mmが1番しっくりくるって』

「…そうか」

黒須監督は少し驚いた顔をして

北さんに確認してもらったチェックリストにOKをくれた

ポカリやエナジードリンクの1日の推定使用量と予備


「信介を見た時は、面白いやつやと思っとったけど、お前が見つけてきたマネージャーもおもろい奴やな」

よく、周りを見てる

監督にそんな風に言って貰えて嬉しくないはずもなく


初の全国に緊張と期待を膨らませたインターハイ


ここ数年常連だという稲荷崎は全国3位


普通は真っ先にその結果を賞賛するだろう


「…ったく、ツムのやつ負ける度に姿くらましおって」

舌打ちをした治が怠そうに双子の相方の姿を探す

私は私でボトルが1本足りなくて、探していると


ボトルの持ち主である稲荷崎の迷子を見つけた

『宮君』

「…なんでおんねん」

『探しに来た』

「は、誰かに頼まれでもしたんか」

『ボトル、1本足りなかったから』

「…そっちかい」

ギロリと私を睨む侑の目には

涙の跡

「…あのスパイクが決まっとったら負けへんかった
俺のセットに不備はなかった」

詳しい技術のことまでは、私には口出しできない

「でも。おれが、サーブ…、もう1本決めとったら

勝てたかもしれへん」

ボロボロと彼の目から涙がこぼれ落ちる

「…っ、悔しい」

『…インターハイは終わりだけど、毎日練習は続くし、次は春高でしょ』

偉そうなことは言えない

でも

『そのために今はちゃんとクーリングダウンして
…アイシング作ってあるから膝ちゃんと冷やしてね』

「…なんでわかったん
サムにも言うてへんのに…」

『マネージャーは見てるのが仕事でしょう?』

侑は涙をゴシゴシと拭って

「泣いとったことみんなに言うたら殺すで」

(目真っ赤だしバレると思うけど…)

『そのボトルもういい?』

「無視すんな」

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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