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ページ32

〜side Atsumu

あの日からも、あいつの態度は特に変わることなく



『…びっくりした。なに?治』

「んー?目の前でゆらゆら揺れとったから気になってもうて」

サムがお弁当を取り出そうと前かがみになった南の揺れるポニーテールに手を伸ばした

『なにそれ』

「猫じゃらしで遊んどるネコやん」

「でも治の生活ってほぼそうじゃない?
食って、遊んで、寝るだけじゃん」

「失礼やな、歯ぁ磨いて風呂も入っとるわ」

「そこ以外否定せんのかい」


「A、髪サラサラやな」

『そう?』

「おん、俺の髪と全然ちゃう
やっぱブリーチしとるからなんかなぁ…」

『でも私治の髪色好きだよ』

「…ほんまぁ?ほんなら染めて良かったわ」


昼休み、2、3言会話を交わすと席を立つ南に

みんなも気にした様子は無い

「どしたの侑
試合、見るでしょ」

「あ、おん」

おったらおったで、わちゃわちゃしてんのは目障りやし

おらんとおらんで、俺のせいみたいでどこか居心地悪い

俺のいないところで、いつの間にか居場所作って


でも、誰も俺に南と仲良くしろなんて言うてこない

北さんですら



挨拶とか無視したりしたら怒るけど。


・・・

「宮ー、お前。ほんまふざけとんのか」

「いやぁ、真剣に考えたはずなんすけどねぇ」

「お前中学で何しとったんや」

「バレーボールっすね」

「そういうことちゃうわ」

ため息をついた先生から返されるのはこの前の小テスト

「確率求めろ言われてんのに、誰も運!なんて回答求めてないねん」

「先生。世の中何があるか分からんと思いませんか?
数字に縛られた世界で無限の可能性を____」

「ええからはよ戻れ」

「うぃす」

「ちなみに、小テスト10点台なのお前だけやから、補習な」

「あかんあかん!聞いてないて!」

「今言うた」

「ちょ、ホンマに部活遅れるんだけはきついっすわ」

「…プリント渡すだけやから、それ終わったら部活行ってええから」

「……」

項垂れて戻り机に伏せる

「おい撮んなや角名ぁ!」

「何したら10点とれるんだよ」

「うっさいわ!12点やボケ!」

「変わんねぇよ」



「南ー」

先生が名前を呼んでも動く気配のない目の前のこいつ

「おい、南?はよ取りにこい」

(…まさか、)

仕方なく、椅子を足で蹴りあげると

『ひゃっ!?』

ビクリと南の体が跳ねた

驚いた顔で振り向いて俺の目を見つめる

「前。呼ばれとる」

『ぁ…ごめん、ありがと』


…びっくりした

(初めてちゃんと、目ぇ合うた)

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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