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ページ21

ぎゅるるる

『……』

朝連終わり、ボトルを片付けていると


地響きにも近いお腹の音

振り向くと目の前の銀髪、
宮治がお腹を抑えて死んだ顔をして立っていた

『…お腹空いてるの?』

「寝坊したから朝飯食いそびれてん」

無言が気まずくて、つい声をかけてしまったが
双子の侑のことを考えれば治の方も良い印象を持っているとは思えない

話しかけんな、とすごまれるか
スルーされると思ったのに


彼はお腹をさすりながら返事をしてくれた

「ツムがギャーギャーうっさいせいでメロンパンとあんぱんしか食うてへんねん…」


『それを朝ごはんと呼ぶのでは?』

(いけない、思わず突っ込んでしまった)

今度こそ、調子に乗るなと怒られる…

「そんなんじゃ足りひんもん、」

あかん、もう1歩も動けない。としゃがみこむ宮治


『早く出ないと北さんが怒るんじゃ…』

「!」

ヨロヨロと立ち上がる彼が何だか可哀想に思えて

『おにぎり持ってるけど、食べる?』

「ええの?」

侑の方なら、私のおにぎりを食べるくらいなら餓死を選択するだろう

「ありがとう!西さん!」

『…南、です』

「あれ、北さんと一緒やって思ったんやけどな」

『方角違いだね』

「そっか、南か」

『おにぎりあげるから集合行けますか?』

「おん!頑張る!」

機嫌よく立ち上がった彼にはしっぽが見えるようで

私はカバンから出したおにぎりを持って
集合を終え、ひもじそうにしている宮治の元へ向かった

『どうぞ』

「おおきに…。命の恩人やわ」

『朝から菓子パンはあんまり良くないと思う
腹持ち良くないから

お腹すきやすいならお米の方がいいと思うよ』

きょとん、としていた彼は

「そやな」

と頷くと

「パンはお菓子にするわ」

と真剣な顔で言うからこっちも力が抜けてしまう

『宮くんは食いしん坊なんだね』

「宮君って2人ともそう呼んでんの?」

『え?』

アルミホイルの包みをはがしておにぎりに口をつけると
急に目を輝かせ

「なんこれ!?うんまぁ!!」

一気に3口でおにぎりを完食してしまった

「米がふっくらもちもちや!」

お父さんがお米が大好きで、こだわったブランドのお米を使ってることを説明すると

「おぉ、それでか…」

いつも死んだような目をしている彼があまりに嬉しそうなので少し笑みがこぼれる

「そうや。宮やと紛らわしいし
治でええで、東ちゃん」

『…南です』

「あれ。
…えーと、A?」

角名が呼んでた、って治が顔を上げた

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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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