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Prolog ページ1

朝5時

アラームの1分前

習慣化された体は、自然に目を覚まし支度を始める


朝食をとって

制服に腕を通し


家を出る


『行ってきます』



6時

『おはようございます』

守衛所のおじさんに挨拶をして

「おはよう、男バレの鍵もう出てるよ」

『ありがとうございます』

マネージャー室(という名の倉庫)の鍵を受け取って


ボルドーカラーのジャージを羽織る


鍵の開いている体育館

『おはようございます』

「あぁ、おはようさん」

マネージャーがいるチームで
主将自ら早朝にボール磨きをしている学校がいくつあるだろう


『…それ、寒くないんですか?』

袖を通さない、肩にかけられたジャージ

「…ええねん」


クールに見えるこの人の

静電気が苦手なちょっぴり弱いところ

『来週には、桜満開になるみたいですね』

「…ほーか」

表情は変わらない

だけど、どこか嬉しそう




“みんなの”北さんと

2人だけのこの時間は



私が稲荷崎(ここ)にいる意味だった


この人に憧れて、ここへきた


この人に恋焦がれて、バレー部へ入った


この人に、恋をして…


・・・

「Aさんって、すごいですよね」

1年生、理石平助は

おにぎりに口をつけながら呟く


「2年生って仲ええやないですか

Aさん、女の子1人やのにすごく馴染んでるっていうか」

捕食に手をつけていた3年の北信介と尾白アランも同じように


稲荷崎高校 男子バレー部 唯一の女子マネージャーに目をやる

「お互いのこと、ほんまに信用してるんやろうなって思いますもん」

5度目のオカワリに手を伸ばす2年、宮治の手を叩いて
説教をしている

南A

叱られた兄弟を「怒られてやんの!」とからかえば
うるさいと一喝され、隣の治と同じようにしょんぼりする

高校No.1セッターの宮侑



「そう見えるか?」

「え?」

主将の北はくすり、と笑った

理石は戸惑った

だって、どこからどう見ても仲良しやないか、と

それだけではない

普段、機械のように淡々と冷静で
あまり表情を崩すことの無い北の笑顔に驚かずにはいられなかった


「ああ見えて、入部当初なんてほとんど口も聞かへんくらい険悪やったんやで」

北は口角を緩めたまま、懐かしむように続けた


「えぇ?」


「あいつが…


Aがよう頑張ってくれたから、今があるんよ」

あの子のこと、よう見とき

と残して北は戻っていく




今の稲荷崎(チーム)が出来るまで
厳しい冬の寒さの末に()があるのだ

・→



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りな∞(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!これからも心を揺らすお話をお届け出来るように頑張ります!楽しんでいただけると嬉しいです🥺 (10月29日 20時) (レス) @page45 id: 6423446c77 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 心がギュッとなってとても動かされました!!続きがとても気になります🥹 (10月29日 14時) (レス) id: 9f951b305f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな∞ | 作成日時:2023年10月9日 4時

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