繋いだ手

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千晃side


初めの頃は私から誘うことが多かった食事も、最近では日高さんが誘ってくれることも増えた。


私も日高さんもお酒が好きだから、食事の後はバーに行ったりするんだけど、そこで日高さんは色んな話をしてくれる。


仕事の話、自分で作ってる音楽の話や面白い話。


日高さんはとても大人で、私の知らない事を色々話してくれる。


そのどれもが新鮮で同い年の人としか付き合ってこなかった私はそんな大人な日高さんをもっと知りたくなって、どんどん惹かれていく自分にも気付いてた。


少年の様な笑顔で笑ったかと思えば、ウイスキーを口に運ぶ色気に溢れた横顔。


私に向けてくれる、時に真剣で、優しい眼差し。


そのどれもが魅力的で、日高さんを好きになるのに時間はかからなかった。


ふいに頭を撫でてくれる日高さんの手が大きくて優しくて温かくて、もっと触れてほしいとさえ思ってしまう。


日高さんに私はどんなふうに見えてるんだろう。


年下だから、大人な日高さんからしたら私は子供っぽいのかな、なんて思っちゃう。


でもこうして食事に誘ってくれるってことは、少しくらい期待してもいいのかな？なんて。


その笑顔も触れてくれる大きな手も、独り占めしたい。


今までの私なら相手の気持ちが知りたくてすぐに口に出しちゃってたけど、日高さんにそれはなんだかできなくて。


今ならAさんの気持ちがよくわかる。


先に進みたいと思う自分と、この関係を壊したくないと思う自分もいるわけで踏み出せない。


こんな気持ちになったのは初めてかもしれない。


それだけ日高さんは私の中で特別で大きな存在に変わっていたの。


今ある日高さんとのこの縁を失くしたくない。

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