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真司郎side
ほどなくして病院に着いた俺は、車を西島に任せて走り出す。
受付で名前を言うと、すぐに案内された手術室前。
そこには宇野ちゃん、美里さん、千晃ちゃんと
それぞれの子供達。
その中に、宇野ちゃんに抱きしめられているゆいを見つけて。
真「ゆい!」
「パパぁっ!」
俺の声に反応したゆいは真っ直ぐに俺のところに走り寄ってきて、すぐさま抱きしめた。
真「ゆいっ」
「パパぁっ…!」
俺の胸に顔をうずめたゆいは、それまで我慢していたのと、俺が来たことに安心したのもあるのか、大きな声で泣き出す。
真「ゆい…、ごめんな、怖かったよな」
大声で泣き続けるゆいの背中を、なだめるように優しく撫でたあと。
まだ泣きじゃくっているゆいを、そっと胸から離して、真っ直ぐに見つめた。
さっきの西島の言葉で、少しだけ冷静になれた俺は。
真「ゆい、パパとの約束、守ってくれてんな」
俺との約束をちゃんと守ってくれたゆいを褒める。
「うん、だってっ、パパとやくそくしたもんっ」
真「偉かったな、ゆい」
涙で濡れた頬を拭うも、止まることなく
溢れてくるゆいの涙。
それを目の当たりにして、どれほど怖かったか
不安だったのか伝わってきて、
胸がキリ、と音を立てた。
しばらくの間、溢れ出るゆいの涙を拭っていると
。
「パパ、」
真「…ん?」
「ママ、どうなっちゃうの?
あかちゃんは?」
真「っ、それは…」
不安げな声でゆいが聞いてくる。
けど、ゆいに、さっき先生に聞いたことを正直に伝えるべきか迷ってしまう。
こんなに不安そうにしているゆいに、追い打ちをかけるように、聞いたことを伝えるべき?
ただでさえ俺がいなくて、不安な思いをしたのに、さらに不安を煽るような事を言っていいのだろうか…。
倒れた時ずっとそばにいたし
何もかも見ていて、怖かっただろうに…。
そんな残酷なこと、言えない。
言えるはずがない。
それにまだ、そうなると決まったわけじゃない。
真「今ママも赤ちゃんも、一生懸命頑張ってる。
先生も、助けようと頑張ってくれてるから。
だから…、信じて待ってよう?」
今の俺には、安易に【大丈夫】とは言ってあげられない。
言えるのは、これが精一杯。
「…うん、」
頷いてくれたゆいを引き寄せ。
さっきの言葉を自分にも言い聞かせるようにして
ゆいの小さな身体をきつく、きつく抱きしめた。
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まりぃ(プロフ) - RUI1117さん» 最後までお付き合い下さり本当にありがとうございました。最終章は私も書きながら胸が痛かったです笑ですが応援して下さり方が支えとなり完結まで書き切ることができました、本当にありがとうございました。また戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - 真央さん» 最後までお付き合い下さり本当にありがとうございました。あたたかいお言葉に涙が出る思いです。何度も挫けそうになりましたが待ってて下さる方がいるのが支えになり完結まで書き切ることができました。本当にありがとうございます。今後もよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - みかもんさん» あたたかいお言葉本当にありがとうございます。そんなふうに言って頂けるなんて涙が出る思いです。拙い私のお話を好きになってくれて本当にありがとうございました。この先も自分らしく言葉を紡いでいけるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - Takatakaさん» 嬉しいお言葉本当にありがとうございます、涙が出る思いです。長い物語見届けて頂きありがとうございました。いつになるかわかりませんがまた戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - ふみさん» いつもあたたかいお言葉をかけて下さりありがとうございました。挫けそうな時いつも思い出していました。そのお言葉を支えに完結まで書き切ることができました、本当にありがとうございました。また戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりぃ | 作成日時:2019年12月3日 16時