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日高side
日「秀太、行こう」
秀太から事情を聞く少し前に、俺は千晃ちゃんからのメッセージで、Aちゃんが倒れたことを知った。
その日の仕事はほぼ終わっていたから、浦田部長の許可をもらって、真司郎達が会社を出たという
約10分後に、俺と秀太もすぐ会社をあとに。
俺達にとって大切なAちゃんが窮地に陥ってる時に、仕事なんか手につくはずがなく
俺達が行ったところで、なんの役にも立てないかもしれないけど、
じっとしてなんかいられなかったんだ。
日「…状況は?その後、何か連絡きたか?」
末「いや、来てない。
Aちゃんが倒れて、運ばれたって
ことしかわかんねぇ…」
日「俺もそれしか聞いてねぇんだよな…」
病院に向かう車内で、俺と秀太は互いに知ってることを聞きあうけど、結局それ以外の情報はなく。
今どうなっているのかわからない。
何もわからない今、俺の頭の中には悪いことばかりが浮かんでしまう。
嫌な考えを振り払うように、強くハンドルを握る俺の横で、秀太は拳を握り
険しい顔で窓の外に視線を投げかけていた。
秀太も、もしかしたら同じことを考えてるのかも、と頭をよぎるけど。
そんなことを秀太と話したくはないし、考えたくもなくて、俺達はその後言葉を交わすことなく、病院への道を急ぐしかなかった。
✽✽✽✽✽
程なくして着いた病院。
末「っと、手術室って、」
日「秀太、こっち」
千晃ちゃんが出産した時帝王切開だったから、
手術室の場所を知っていた俺は、先に病院へと入った。
外来、病室の前を順に通り過ぎて、建物の1番奥の角を曲がれば、その先が手術室。
秀太と足早にその場所へと向かいながら、
どうか、どうか無事でいてくれ、と心の中で何度と繰り返す。
角に差し掛かって曲がると、そこにみんながいた。
手術室の前に並べられた長椅子に座っているみんな。
だけど誰も言葉を交わすことなく、静まり返っているその空間。
病院の中だというのがあるにしても、いつも賑やかな子供達の声もなく、その場の空気を子供なりに感じ取っているようで、じっとして動かない子供達。
千「…だっちゃん、末吉さん」
俺と秀太が来たことに気付いた千晃ちゃんの声は
かなり弱々しく、浮かない表情。
何も聞かなくても状況が良くないことがひしひしと伝わってくるその重苦しい空気に。
俺と秀太はやりきれない気持ちで、
みんなのところに近寄ることしかできなかった。
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まりぃ(プロフ) - RUI1117さん» 最後までお付き合い下さり本当にありがとうございました。最終章は私も書きながら胸が痛かったです笑ですが応援して下さり方が支えとなり完結まで書き切ることができました、本当にありがとうございました。また戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - 真央さん» 最後までお付き合い下さり本当にありがとうございました。あたたかいお言葉に涙が出る思いです。何度も挫けそうになりましたが待ってて下さる方がいるのが支えになり完結まで書き切ることができました。本当にありがとうございます。今後もよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - みかもんさん» あたたかいお言葉本当にありがとうございます。そんなふうに言って頂けるなんて涙が出る思いです。拙い私のお話を好きになってくれて本当にありがとうございました。この先も自分らしく言葉を紡いでいけるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - Takatakaさん» 嬉しいお言葉本当にありがとうございます、涙が出る思いです。長い物語見届けて頂きありがとうございました。いつになるかわかりませんがまた戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - ふみさん» いつもあたたかいお言葉をかけて下さりありがとうございました。挫けそうな時いつも思い出していました。そのお言葉を支えに完結まで書き切ることができました、本当にありがとうございました。また戻ってきますので今後ともよろしくお願い致します(^_^) (2020年1月3日 13時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりぃ | 作成日時:2019年12月3日 16時