逃げていただけ ページ49
あなたside
抱きしめられた時に鼻を掠めた微かな香りは
あの人がつけていた香水の香り。
＿＿＿嫌だ。
私の好きな真司郎の香りじゃない。
あ「…来て。」
真「A？！」
座っていた真司郎の腕を掴み、半ば強引に立ち上がらせると困惑顔の真司郎を引っ張って、向かった先はバスルーム。
服のまま浴室に入ると力任せにシャワーの蛇口を捻った。
その瞬間熱いシャワーが2人の頭上から降り注ぎ
髪も服も、何もかも濡らしてゆく。
真「A、濡れるってっ」
とめどなく降り注ぐシャワーを止めようとする手を制して、真司郎の服を掴むと力いっぱい壁に押し付けた。
あ「…あの人と、シた？」
真「……え、」
あ「答えて、シた？」
真「ッそれは…」
あ「シてるよね、付き合ってたんだもん…」
私以外にも真司郎の熱さ、香り、肌の感触や全てを知ってる人がいる。
その事に、胸の中が軋むように痛くて
息もできないくらい苦しくて
あ「なんでっあの人なの、
なんであの人の方が先なのっ…」
会うことはないしどんな人か知らないんだから、と気にしてないふりをして。
本当はずっと胸の中に燻っていた醜い感情
それはやきもちなんて可愛いものじゃない。
今私の胸の中を埋め尽くしているのは醜い嫉妬。
胸の中に蠢く嫉妬に気づかないふりして、本当はずっとその醜い感情から逃げていた。
だけどそれに気付いてしまった今、もう止められない。
あ「もっと早く、出逢いたかった…
あの人よりも、他の誰よりも早く…
真司郎と出逢いたかったっ…＿＿＿！」
こんな事今更言っても真司郎を困らせるだけ。
わかってるけど…今胸の中にある醜い感情を吐き出してしまわないと、自分が壊れてしまいそう。
頭では過去のことを消し去る事も、なかったことにすることもできないのはわかってる。
それならせめて
あ「…思い、出さないで、」
最後の我儘にするから
あ「あの人とのコトも、他の人とのコトも
思い出さないで…。
思い出すのは、私とのコトだけにして＿。」
震える手で真司郎の胸元を掴み
あ「今すぐ、私でいっぱいになって…お願い…。」
真「Aっ…」
互いに強く、強く抱きしめあったあと。
濡れた服を脱ぎ捨て何度もキスを交して、体温を感じあって、どこまでも深く繋がりあった。
薄れゆく意識の中で覚えているのは
切なそうに顔を歪ませる真司郎と
耳元で聞こえる【愛しとるよ】の言葉だけ。
それを最後に私は意識を手放した…。
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まりぃ(プロフ) - K- Kさん» いつもありがとうございます！そのお言葉が何よりも嬉しいです(TдT)次の章では幸せなお話を書いていけたらと思ってますので、これからもよろしくお願い致します(*^_^*) (2019年3月12日 12時) (
レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
K- K - 本当にこの作品大好きです！これからも二人がずっと幸せでいてほしいですね。これからも応援してます！楽しみにしてます！ (2019年3月9日 10時) (レス) id: 7746b24c2c (このIDを非表示/違反報告)
めぐ - 全然楽しんでストーリー読んでいるのでまりぃさん気にしないでくださいよ！新しい章のストーリーがどんな始まりだか今からどんなのかまだ私には想像つきません！ (2019年3月9日 3時) (レス) id: 45f78a918e (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - K- Kさん» 身を持ってヒロインさんを守る姿っていいですよね(*^_^*)少しでも楽しんで頂けてたら幸いです(*^_^*) (2019年3月8日 22時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - めぐさん» 醜い嫉妬に突き動かされる姿が書きたくてこういうお話になりました。ここまでずっと優しくて人思いだったヒロインさんが見せた初めての姿いかがだったでしょうか…。楽しんで頂けてたら幸いです。 (2019年3月8日 22時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりぃ
| 作成日時：2019年1月15日 16時
