繋いだ手12

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あなたside


真「それとな、もう1つこの世の中で嫌いなものが
　 ある。
　 Aを傷付けること。」


真司郎がくれる言葉に、また涙が溢れてきてしまう。


真司郎はどんな気持ちで過去の事を話してくれたんだろう。


真司郎は、どんな時も私の事を全部受け止めてくれた。


真司郎にどんな過去があっても、聞いても私の気持ちは変わらない。


今度は私が真司郎の事を受け止める番…。


真司郎は何でもないふうに話してくれたけど、きっと傷付いてる。


その人を好きじゃなかったにしても、裏切られた事は紛れもない事実。


そのことに胸が痛いくらいにぎゅう、と締め付けられて。


たまらず私は真司郎を抱きしめた。


あ「私も、真司郎が傷付くのは嫌だよ…。」


真「A…。」


抱きしめ返してくれる優しい腕。


あ「私だって、この世の中で真司郎が傷付くのが
　 1番嫌い…。」


真「A、ありがとな。なぁA、」


名前を呼ばれて抱きしめていた腕を緩めると、真司郎とまた向かい合う。


真「友達の事があって不安になったとは思う。
　 けどな、これだけは覚えといて。」


コツン、と額が重なる。


真「俺は裏切られた側の気持ちを知ってるし、
　 俺がAを裏切ることはこの先絶対ない
　 から。
　 何度でも約束する。」


あ「うん、」


真「浮気も、Aが傷付くことも大嫌いな
　 俺が、わざわざ傷付けるような事するわけ
　 ないやろ？」


こぼれてしまいそうな涙に声が出せず、何度も頷いた。


いつも真司郎の言葉はまっすぐで。


私の不安だった気持ちを汲み取って言ってくれた言葉達。


真司郎が話してくれた事を、言葉を、胸の奥にしっかりと刻み込んだ。


それと。


私も今の気持ちを、ちゃんと真司郎に伝えたい。


あ「真司郎、私も何度でも約束する。
　 私がこの先よそ見する事なんて絶対ないし、
　 私が愛してるのは真司郎だけだからね。」


真「おん、俺も愛しとるのはAだけやから。」


この世の中に【絶対】はないって言われるけれど、私の中にはある。


私が真司郎を裏切るなんてこの先絶対にない。


だって、私は今でも毎日真司郎に恋してるんだから。


昨日より今日、今日よりも明日、明日よりももっとその先の未来。


私は毎日真司郎に恋をしてその度に好きになる。

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