検索窓
今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:95,324 hit

それは突然に ページ1

あなたside


あ「んーいい匂い。」


パン作りを始めた私はその日の午後、真司郎のリクエストのクロワッサンや、みんなにお裾分けしようとバターロールを焼いていた。


部屋中に漂うバターのいい香りに包まれながらオーブンを見ていると、ダイニングに置いていたスマホが着信を知らせる。


手にとって名前を見ると、すぐ隣に住んでいる実彩子から。


すぐ隣なのに、どうしたんだろうと思いつつ電話に出る。


あ「実彩子?どうしたの?」


話しかけるけれど実彩子声は聞こえてこなくて、代わりに聞こえてくるのは、荒い息遣いと唸るような苦しげなもの。


あ「実彩子?どうしたの?」


実【んー…、A、陣痛、きた…。】


あ「え?!じ、陣痛?!いつから?!」


実【お昼過ぎたくら…い、】


あ「わ、わかった!美里さん呼んですぐ行くから
  待ってて!!」


それだけ言うとすぐさま電話を切ってスマホを握りしめたまま、慌てて部屋を飛び出す。


あ「あいた!」


その時にゴミ箱を蹴飛ばしてしまったけれど、そんなのは今どうでもいい。


玄関を飛び出した私は


あ「美里さーん!!」


近所迷惑なのも考えずに、大声で呼びながら隣の美里さんの家へと走る。


私の大声に気付いた美里さんがリビングの窓を開けて顔をのぞかせた。


美「Aちゃん?どうしたの大きな声で、」


あ「実彩子が陣痛きたって!」


美「え?ほんと?!わかった、すぐ行くから!」


それを聞いた私は踵を返して、今度は実彩子の家へと走る。


インターフォンを鳴らすと、しばらくしてから開いたドア。


中から顔を歪ませた実彩子が出てきてくれた。


あ「実彩子、大丈夫?!」


実「うん、今波がおさまってるから平気。
  ごめんねA。」


あ「何言ってるの。
  とりあえず中入ろうか。
  美里さんもすぐに来てくれるからね。」


私は実彩子の背中を撫でながら、ゆっくりと中へと入る。


リビングのソファーに実彩子を座らせると、しばらくして美里さんと輝くんが来てくれた。


美「実彩子ちゃん、陣痛きたんだって?
  今間隔どのくらい?」


実「美里さん。
  今ちょうど10分間隔くらいになったところで
  す。」


美「ならそろそろ病院行かなきゃね。
  病院には連絡したかな?破水は?」


実「破水はまだ。
  病院には連絡してあります。
  んー波がきたみたいっ、んんっ!」


苦しそうに眉をぎゅっと寄せて唸る実彩子。

・→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
289人がお気に入り
設定タグ:AAA , 與真司郎、西島隆弘 , 宇野実彩子   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まりぃ(プロフ) - K- Kさん» いつもありがとうございます!そのお言葉が何よりも嬉しいです(TдT)次の章では幸せなお話を書いていけたらと思ってますので、これからもよろしくお願い致します(*^_^*) (2019年3月12日 12時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
K- K - 本当にこの作品大好きです!これからも二人がずっと幸せでいてほしいですね。これからも応援してます!楽しみにしてます! (2019年3月9日 10時) (レス) id: 7746b24c2c (このIDを非表示/違反報告)
めぐ - 全然楽しんでストーリー読んでいるのでまりぃさん気にしないでくださいよ!新しい章のストーリーがどんな始まりだか今からどんなのかまだ私には想像つきません! (2019年3月9日 3時) (レス) id: 45f78a918e (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - K- Kさん» 身を持ってヒロインさんを守る姿っていいですよね(*^_^*)少しでも楽しんで頂けてたら幸いです(*^_^*) (2019年3月8日 22時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - めぐさん» 醜い嫉妬に突き動かされる姿が書きたくてこういうお話になりました。ここまでずっと優しくて人思いだったヒロインさんが見せた初めての姿いかがだったでしょうか…。楽しんで頂けてたら幸いです。 (2019年3月8日 22時) (レス) id: b565779794 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まりぃ | 作成日時:2019年1月15日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。