繋いだ手10

あの頃 ページ6

真司郎side


あ「んー、美味しい！お肉がジューシーだね！」


街中を散策していた途中、休憩しようと入ったカフェ。


そこは俺がよく通っていたカフェで、Aを連れてきてあげたいな、と思ってたとこ。


大きなハンバーガーが有名なのはもちろん、他のフードも美味しくて俺のお気に入りだったカフェ。


大きなハンバーガーを頬張るAは、ほんまに美味しそうに食べてくれる。


この喜んでる姿が見れるだけで満足な俺。


LAに来てから、色んなところに連れて行ったんやけど、そこは全部、LAにいる時にAを連れてきてあげたいなと思ってたところやった。


LAに来とる間、俺はずっとどこに行くにしても、隣にAがおってくれたらどんなに楽しいやろう、と想像してた。


1人街を歩いてる時も、1人映画を見てる時も、綺麗な風景を見ている時も。


いるはずがないってわかってても、Aの姿を探したり、後ろから声をかけてくれるんやないか、なんて思ったり。


カフェで1人いる時も、目の前にAがおってくれたら、どんなにいいか、と毎日思いながら過ごしてた。


あの頃の俺は、毎日声が聞きたいくせに、1言でもええからメッセージのやり取りをしたいくせに、変な拘りをもっててそれを行動に移すことをせず、自分ばっかりが辛いんや、なんて考えとったな。


でもほんまに辛いんはAなんや、ってことをあの時、末吉さんに言われて気付かされて、へこんだりしたなぁ。


もしあの時、末吉さんに話してへんかったら、俺達は今こうしとらんかも…と、あの頃の事を思い出す。


ほんま、あの頃の俺アホやな、と苦笑いを浮かべとると


あ「真司郎、変な顔してる、」


真「へ？変な顔？！」


あ「笑ってみたり、眉間にしわ寄せたり、変な顔
　 してた。」


Aは、俺がしてたであろう顔真似をしながら言ってくる。


真「ちょっとな、こっちにおった時の事思い出し
　 てただけや。」


あ「どんな事？」


真「んー、秘密笑」


あ「なにそれ、もう、」


なんて、むくれ顔のAは、ほっぺたにパンくずをつけてるのに気付いた。


真「A、付いとるで。」


手を伸ばしてそれを取り、ぱく、と口に入れるとほんのり頬を赤らめた。


ほんま、可愛すぎて困るんやけど。


それから2人で色んな話をして


真「俺、ちょっとトイレ行ってくるわ。」


そう言って席を離れたんやけど、その数分の間に、俺はAに、怖い思いをさせる事になってしまった…。

油断→←外だよ？！

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