繋いだ手10

重なった ページ35

末吉side


美「送り出したものの、ほんとは凄く心配でね、
　 真司郎くんが帰ってくる間、ずっとどうしよ
　 う、って言ってたんだよ。」


からかってやるつもりが、話が変な方向に流れてしまった…。


あの日真司郎の気持ちを聞いて、このままじゃだめだと思った俺は、うじうじしてたあいつの背中を押してやった。


俺もその時みぃ…、美里と超遠距離だったから、あいつの気持ち理解できたし。


俺達は恋人同士になって長かったけど、それでも離れている時は、常に不安がつきまとってた。


いくらお互いに好きで、気持ちが繋がっているってわかってても、離れていれば不安は募る。


近くの男に気持ちが傾くんじゃねーか、誰かに盗られんじゃねーかって。


ましてや真司郎は、その時Aちゃんの気持ちを知ってたものの、まだ恋人同士になってなければ、Aちゃんはあいつの気持ちを全く知らない状況。


それにAちゃん可愛いし、話を聞く限り性格とかも申し分ないし、男からすればそんな子が近くにいたらほっとくわけねーよな。


…実際、1人おったし。


自分の好きなやつが、他の誰かのものになってから後悔することほど苦しいもんはない。


俺はその気持ちを知ってるから、真司郎の事をほっとけなかった。


だから、1人思い悩んでうじうじしてるくらいなら、気持ち伝えてこいって背中押してやったんだ。


でも、背中を押してやったあとに、余計なことしちまったんじゃねーか、なんて思って。


あいつが帰ってくるまで気が気じゃなかった。


まぁそれは取り越し苦労に終わったんやけど。


それを電話で美里に話してたんやけど、まさかここでその事バラされるなんて、な。


美「振られて帰ってきたら、俺にも責任あるし
　 立ち直るまで面倒見てやんねーとな、とか
　 言ってたしね。」


日「秀ちゃん優しー。」


末「うるせぇ日高、」


美「秀ちゃん、ぶっきらぼうそうに見えてね、
　 ほんとは凄く優しいんだよ。
　 ただ、口に出さないだけでね。」


末「おい、まじもう言うな。」


そんな俺に向かって笑った美里。


こいつはなんでこんなに俺の事わかってんの。


そういうとこ、まじ、惚れる。


恥ずかしい気持ちからあんまり好きだとか言わねえけど、真司郎達見習って、たまには素直に伝えてみるのもいいかもな。


ついでに、俺達の昔の話をするのも、いいかもしれない。


そんな事を、真司郎とAちゃんを見ながら1人思った。

アイドルな輝くん→←あの時

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す