繋いだ手10

あの時 ページ34

あなたside


実「新婚旅行LAに行ってきたんでしょ？
　 どうだった？」


あ「すっごく素敵なところだったよ。
　 あ、末吉さん。」


末「ん？俺？」


あ「真司郎が、末吉さんとよく行ってた韓国料理
　 屋さんにも連れて行ってくれたんですよ。」


末「まじ？ちょー懐かしいんだけど！」


あ「すごく美味しかったです。」


末「あそこ美味いよな！
　 真司郎と飯行く時、あそこばっかりだったん
　 よ、」


真「末吉さんやってあそこ好きやったやん。」


すると、思い出したかのように


末「そういや俺、あの店で真司郎に説教したんだ
　 よな、」


と、にやり、として言った末吉さんとは対称的に


真「もうーまたいらんこと言う…、」


私の横でうんざりしたような顔をする真司郎。


日「なになに？何の説教？」


末吉さんの1言で、みんな興味津々な顔に変わる。


末「Aちゃんの事でだよ。」


あ「…私、ですか？」


隣の真司郎を見つめると、なんだか今度はバツの悪そうな顔をしたかと思えば、


真「あの時は感謝しとるって、」


と言う。



末「こいつがさ、好きな子いて、その子から告白
　 されたけど、自分の気持ちまだ伝えてないっ
　 て言うけん、俺が説教したんよ。」


美「それ、私も覚えてる。
　 日本での会議、譲ってあげたってやつだよ
　 ね？」


末「そうそれ。」


西「あー、あの與が一回帰ってきたやつ？」


末「そう。
　 こいつがうじうじしてっからさ、ちゃんと
　 気持ち伝えてこいって説教したわけ、」


私も聞いたことがあるその話。


だけど私が聞いたのは、会議を譲ってくれた先輩がいて、それが末吉さんだと言うことだけ。


説教されたなんて話は、初めて聞くことだった。


その時の話を、末吉さんの隣で聞いていた美里さんが、可笑しそうに笑い出す。


美「秀ちゃん、こんなふうに言ってるけど、ほんとはすっごく心配してたんだよ？」


真「え？」


美「あの時、帰れなくなったって電話くれた時に
　 ね、言ってたんだよ？」


末「ちょい待て、みぃ、」


それまでドヤ顔で話していた末吉さんだったけど、慌てたような顔に変わる。


それを横目に、話を続ける美里さん。


美「説教して譲ってやったけど、もし振られて
　 帰ってきたら俺どうしたらいい？って、ほん
　 とは心配してたんだよ。」

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