繋いだ手10

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真司郎side


あ「心配になっちゃう…。
　 それなら、私が会いに行く。」


真「ほんま？」


あ「うん、前にも言ったけど、そうなってたら
　 必ず会いに行ってたよ。」


真「でもA、飛行機怖がってたやん、
　 1人で乗れるん？」


日本をたつ飛行機に乗った時、Aの口数が少なくなって、どうしたんやろうと隣のAを見ると、顔が強張っていた。


あ「あれが嫌なの。
　 あの、内臓がふわっと浮く感じ…。」


真「俺の手、めっちゃ強く握ってたもんな。
　 1人で乗る時どうするん？」


離陸する時の感覚が嫌らしくて、怖がってたAは、その時俺の手を強く握っていた。


あ「それは…が、頑張る。耐える。
　 息止めとく。」


真「息止めとくって！
　 はは、ほんまAはおもろいな笑」


真剣に答えたその言葉に、思わず笑ってしまう。


やけど、もしそうなってたら、【会いに行く】と言ってくれたのが嬉しい。


会いに来てくれたら、来てくれたで、帰したくなくなってたんやろうけど…。


それからも笑いながら、話をした。


するとしばらくして、Aがぽつりと呟く。


あ「真司郎は、LAにきてから何思ってた？
　 恋人同士になる前の、1年間。」


真「Aの事ずっと考えてたで。」


あ「私達、お互いに何も連絡しなかったでし
　 ょ？
　 それは臆病になってた私が悪いんだけど。」


自嘲気味に笑うA。


あ「今だから言うけど、私ね、真司郎に忘れられ
　 ちゃったのかな、って思ってた。」


真「そんなわけないやろ…。」


思わず後ろからぎゅっとAを強く抱きしめた。


自分の拘りのせいで、連絡しなかった俺が全部悪い。


それに、Aにそんな事を思わせていた自分が情けなくなって、胸がズキンと痛む。


真「忘れた事なんて1度だってない。
　 寝ても覚めても、ずっとAの事だけ
　 考えて、想ってた。」

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