繋いだ手10

知らないことばかり ページ14

あなたside


花「西島さんにね、Aさんの事守るように頼んでたらしいですよ？」


初めて聞くことだった。


花「それと、帰国したときの事も知ってます？」


真「想太、お前酔ってる？」


睨みを効かせながら言う真司郎を横目に、話を続ける花村さん。


花「ほんまはね、あと半年LAにおるはずやったん
　 ですよ。」


あ「…え、真司郎、そうだったの…」


真「想太余計な事を…。」


額に手を当てて呟いた。


あ「うそ、私が、原因…？」


私の事があったから、真司郎は帰国を早めてしまったのだろうか…というのが胸をよぎる。


花「與さん、ちゃんと話したほうがええんやない
　 ですか？」


はぁーと、深く息を吐くと、戸惑ってるような、
照れてるような、なんとも曖昧な顔をした真司郎。


真「たしかに、あと半年おってほしいとは言われ
　 たで。
　 でもな、俺が無理やってん。」


あ「…俺が無理って？」


真「俺がAと離れてんのが無理やってん。
　 Aのそばにおりたくて…。」


花「ボスに、直談判したんですよね？」


真「おん、てかお前、しゃべりすぎやし、」


花「もう過ぎたことやし、ええやないですか笑」


頬を掻きながら真司郎は、話してくれた。


真「その時ちょうど、大きな商談かかえとって
　 な、ボスと交渉してん。」


あ「交渉？」


真「おん、その商談まとめる事ができたら、帰国
　 させてくれって。」


花「それでめちゃくちゃ頑張ったんですよね、」


真「まぁ、」


花「ボスもまさかまとめると思ってへんかったか
　 ら、驚いてましたもん、」
　

真「俺できる子やし。
　 でも誤解せんでほしいのは、Aがどう
　 こうやなくて、俺が離れたくなかったからや
　 から、」


照れているのかその耳は赤くなっていて、それを誤魔化すように、グラスに口をつけた。


花「ほんま、愛の力っすね、」


真「うるさいわ、」


あ「…なんで、教えてくれなかったの？」


真「そんなん、恥ずかしいやん、」

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