美彩は知っている

黒木君。 ページ23

その後、説明を受けて原稿を書き上げた私。





締め切りってそんなに大変かなぁ。









prrrrr prrrre




駅からの帰り道、ポケットの中で震えたスマホ。







表示には、“黒木君”の文字。




……珍しい、何かあったのだろうか。









彩「はい」


黒「久しぶり、アーヤ。元気？」


彩「ん、元気。黒木君は？」



大人になった私は、社交辞令というものを学んだ。







黒「…フフ。アーヤ、小説家になるんだって？」





…何で、黒木君が知ってるの！？







黒「美門から聞いた。kz全員、知ってるよ。グループラインに載せてあったからね。」







げ、確認してないっ！







黒「他の皆からも電話、来るんじゃない？…上杉は分からないけど。」





黒木君は、頑張れってエールをくれた。






ふぅ、と息をはきだす。





吐き出した息は、夜の闇へ溶けていく。








あぁ〜っ、疲れた。



誰もいないことを確認してから、大きく伸びをした。









さて、明日は早番シフトだ。









自分がスカートなのを忘れて、走った。









頬を切る冷たい空気が心地良い。

働く美形。→←小説家。

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