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「ヌケサク、DIOのところまで案内しな」
「は…はひ…」
既に吸血鬼のヌケサクは承太郎に襲い掛かろうとするも、敢なくボッコボコにされた。しかも下手に吸血鬼だ!不老不死だ!と煽り文句をつけたから、必要以上にボッコボコにされた。ヤンキーっ気のあるAもちょっと可哀想に思うくらいボッコボコだ。
承太郎が彼の首根っこを掴んでプラプラと宙吊りにした。Aが私がご案内いたしますと言うも、ジジイに引っ付いてなと遠慮されてしまい、仕方なくジョセフに抱きついた。
DIOの部屋は最上階。この光射さない館では、どこも同じようなものだが、やはり最上階ともなるとラスボス感があって、一同は妙な緊張に包まれた。
「おい、ヌケサク、DIOの野郎は今頃どうしている」
「い、今はお休み中です…棺の中で…」
道中、本来彼女の部屋があった場所を通過した。部屋はあったが、扉はやはり様相の違うものだった。いざ自分が過ごしていた空間がうって変わった様子になると、なかなか寂しいものがあった。DIOの部屋も、情けなくなっているのだろうか、笑ってやろうか、いや、そんなことができる時間はもう終わったのだった。
階段をしばらく登る。無言が続く。だんだん気温が下がっていく、太陽が沈んでいく。星が瞬く。
「この階段の先、左側にあるのがDIO様のお部屋です…」
「本当か?嘘じゃねえだろうな」
「本当です!本当!」
「承太郎様、間違いありません。私が保証いたします」
「そうか、じゃあお前はここで待ってな」
「…あの、本当に私は」
「待っていなさい」
承太郎のほか、ジョセフにもそう言われてしまい、小さくなって「はい」と呟いた。ジョセフが彼女を廊下に下ろすとポルナレフと花京院が交互に頭を撫でてくれた。最後にジョセフが視線を合わせるようにしゃがみ、そっと手を握って、優しく微笑んだ。承太郎は相変わらずそっぽを向いていた。ジョセフの冷たい義手に顔を近づけ「ご武運を」と名残惜しそうに言った。
その名残惜しさは、ここに残されるからか、DIOに対する心残りによるものか、承太郎は考えあぐねた。しかしそうしている時間がもったいない。承太郎が扉に向かってヌケサクを放り投げた。激しい音を立てて、扉は散った。
中に全員が入ると壁を壊す音がした。部屋には夕日が差し込んでいるに違いない。
「DIO…ごめんなさい…」
震える小さな声で自分の罪を背負おうとした。


しかし悪魔には彼女の罪など関係ないことだ。

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☆夢腐女子☆(プロフ) - 苗字の欲張りセットは笑いましたw面白かったです!他の作品も頑張ってください!(*^^*) (2021年5月30日 7時) (レス) id: a9ee6f3cf2 (このIDを非表示/違反報告)
3a - めっちゃ面白いです!!続きが気になります!頑張ってください! (2021年5月16日 3時) (レス) id: 59e168782f (このIDを非表示/違反報告)
ソーサラー(プロフ) - 靜藍さん» ありがとうございます!頑張って完結させますね!! (2021年1月2日 16時) (レス) id: 1368eb388d (このIDを非表示/違反報告)
靜藍(プロフ) - め、めちゃくちゃ面白いですッッッ!!!前作?のディオの妹の話もそうですが、私のドタイプのお話でした!!(*>∇<*)続きとても楽しみに待ってます!!! (2020年12月6日 19時) (レス) id: 114c5f5474 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソーサラー | 作成日時:2020年10月22日 23時

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