花京院典明 ページ36
ンドゥールに目をやられて病院に行く前、彼とこんな話をした。
「彼女とは一回しか会ってないんだ、廊下ですれ違った時に声をかけてね」
ホテルの一室で承太郎と向かい合ってベッドに腰掛けながら、花京院は笑った。
「君やジョースターさんが言うような可愛らしさはわからなかったけど」
「可愛いなんて思ってねえよ」
「ああごめん、ちゃんと聖人のような清さは感じたから怒らないでくれ」
「怒ってねえ」
承太郎はタバコを蒸して窓の外に向かって煙を吐く。
「承太郎、聞かせて欲しいんだ、君にとって彼女はどういう存在なんだ？」
花京院は水の入ったペットボトルを握り、真面目な表情で承太郎の目を見る。
気になる。
こういう武骨な男が気に入るほどの少女、容姿端麗というわけではないがバランスの良いパーツをしていて狼のような眼が人目を引く。
聞いた年齢の割には小さな身長をしていて細く、女性的には未発達で、過去の生活の酷さを訴えた。
承太郎はタバコを消して星空を見上げ、指を指す。
「…あそこに金星があるだろ」
「ああ」
「アレだよ」
「…君らしくない物言いだね」
承太郎はベッドに身を投げ、横になった。
「見たくなくても見えちまう。いつも光っててわかりやすい。でも人混みに紛れたら消えて見えなくて、探さなきゃあいけない。小さいのに、よく見たら大きい」
「そんな恥ずかしい台詞をつらつらと、よく言えますね」
花京院は大きな口を手で隠しながら笑った。
「うるせぇ、だいたいテメェが」
「金星はヴィーナスでしたか、美の女神…彼女のこと、随分気に入ってるんですね」
くつくつと笑う花京院に、承太郎は背を向けた。
「…だから」
「ん、何て言ったんです？」
「妹みたい、だからな」
ふと花京院は思い出した。
ジョセフが困ったように言っていた。
アヴドゥルに「あまり学生達に買い与えないでください、ポルナレフにも」と注意された彼が言い訳のようにぼやいていた。
“ジョースター家は、仲間、特に身内だと思うととことん甘くなる”
「…しっかり受け継いでるじゃあないですか」
承太郎はもう気にも留めていないのか、寝ているのか、照れているのか、こっちを見なかった。
病院のベッドの上で、眼帯をまだ外せない花京院は暗闇の中で思い出にふける。
承太郎は案外鈍感なタイプなのかな。
彼が女子を褒めるところはこの旅で一度も見たことがない。
教えたら照れるだろうか。
照れる承太郎を見てみたい。
悪戯っ子のように花京院はくつくつと笑った。
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ソーサラー(プロフ) - まあちゃんさん» 大変長らくお待たせしました！地道に書いていきます！ (2020年10月16日 0時) (
レス) id: 3646a202a2 (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - 更新再開嬉しいです！とても楽しみにしておりました…！お身体に気をつけてお過ごしください！ (2020年10月15日 23時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - 最近アニメ3部の再放送が始まってDIO気になっていたのでこの小説読んでる時はを見つけられて良かったです！関係性がすごく好きで、どうなるのか楽しみです！！ (2020年5月12日 2時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - やっぱりDIOは死んじゃうのかな、、、どちらにせよ楽しみにしてます！ (2020年4月23日 19時) (レス) id: 634ca2a9ef (このIDを非表示/違反報告)
ソーサラー(プロフ) - もっちさん» 人混みは避けて手洗いを徹底しましょうね、夢主ちゃんはこれからコロナ対策張りに苦しい思いをするので楽しみにしててくださいね〜 (2020年4月11日 23時) (レス) id: 373aaa0dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーサラー | 作成日時：2020年3月16日 12時
