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誘拐されてもうじき2週間が経つ、最初と比べて人間が随分少なくなった。
「いーつくしみふかーきーとーもなるイエスはー」と歌を口遊むと、半裸のDIOが本から目を離し、彼女を嫌そうに見た。
「何故聖歌なんだ」
「ん、私歌はこれしか知らないんだよねー…つーみとがうれいーをーとーりさりたもおーって意味もよくわかんないもん」
信者というわけではなさそうだが、嫌いな聖歌を気持ちよさそうに口遊む彼女に止めるのを強制することもできない。
窓辺に行こうとしてAはゆっくり立ち上がる。しかしまだ慣れない義足で、何もないところに躓く。
「わっ」
彼女は床に体を打ち付けないように両手を伸ばす、が、先に触れたのは届くはずが無かった男の太い腕だ。DIOの能力だと認識してから、彼女は「ありがとう」と礼を言った。
「私のものになる前に傷付かれては困るからな」
「素直に心配だからって言えばいいじゃん」
「ほざけ野良猫が」
「は？いい子いい子してやろうか？」
ふと視界の端に映るエジプトの星。アメリカのものと違うようには見えなくて、でもこの星の輝きはアメリカではないな、と感じて。
ジョセフが恋しい、承太郎に会いたい、スージーQ、ローゼス、ホリィを一目だけでも見たい。自分は大丈夫だと伝えたい。
「遅いなあ、ジョセフ様。流石に遅すぎるよな」
「…」
Aは窓辺に目を向けたままだ。
「もう2週間経っちゃうよ。国家権力を動かせるお方なのに」
彼女がジョースターの話題を出すたび、考えるたび、口にするたび、呼吸器官が圧迫されるように息が苦しくなる。
嫉妬というにはあまりにも幼い感情のように感じて情けなくなる。
「Aよ、」
名前を呼ぶとすぐに自分の方を向いてくれる、それだけで米神が脈打つ。
「もし、このDIOとジョセフ・ジョースターを選ぶならどちらを選ぶ」
Aは考える素振りも見せず「ジョセフ様に決まってんじゃん」と即答する。
なんていうか、分かってはいたのだが。
グラグラ煮え立つような脳味噌でDIOは相槌を打とうとするが、その前に彼女は当然のように続けた。
「でもお前が助けを求めるなら、お前の方行っちゃうね、絶対」
嘘ではないのは彼女を見ていてよくわかる。
体液は鎮まらず、内臓も全部踊ってバラバラになりそうだ。
なんて優しくて貪欲なんだろう！
見捨てる事を知らない？
裏切る事を知らない？
彼女の後ろから抱き締めると、彼女は「ちゃんと救ってやるから心配すんな」と歯を見せていつものように笑った。
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ソーサラー(プロフ) - まあちゃんさん» 大変長らくお待たせしました！地道に書いていきます！ (2020年10月16日 0時) (
レス) id: 3646a202a2 (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - 更新再開嬉しいです！とても楽しみにしておりました…！お身体に気をつけてお過ごしください！ (2020年10月15日 23時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - 最近アニメ3部の再放送が始まってDIO気になっていたのでこの小説読んでる時はを見つけられて良かったです！関係性がすごく好きで、どうなるのか楽しみです！！ (2020年5月12日 2時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - やっぱりDIOは死んじゃうのかな、、、どちらにせよ楽しみにしてます！ (2020年4月23日 19時) (レス) id: 634ca2a9ef (このIDを非表示/違反報告)
ソーサラー(プロフ) - もっちさん» 人混みは避けて手洗いを徹底しましょうね、夢主ちゃんはこれからコロナ対策張りに苦しい思いをするので楽しみにしててくださいね〜 (2020年4月11日 23時) (レス) id: 373aaa0dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーサラー | 作成日時：2020年3月16日 12時
