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T side
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「…宮田」
「うん、大丈夫。今日此処は特別に宮田くんが奢って差し上げましょう。 ほら、急がないと」
「早く早く」と急かされ、もしかしたら明日大雪にでもなるんじゃないか、
なんてちょっと本気で心配になる程珍しい宮田からの「奢る」という言葉に今だけは素直に甘えさせて貰おうと、元々少ない自らの荷物を持って席を立つ
「たまはほんとにガヤさんが大好きで仕方ないんだね。 あ、それはガヤさんも同じか」
「仲良しだよねぇ」と更に目尻を下げてのにこにこ顔
いつもなら煩いと一喝するだろう投げ掛けにも怒る気は起きなかった
後で改めて、なんてそれこそ照れくさいから、
「…ありがとう」
「ふふ、どういたしまして。 気を付けてね」
宮田の言葉に小さく頷いて個室を出て店を後にする
運良く通り掛かったタクシーに乗り真っ直ぐ自分の家へと向かった
タクシーを降り、マンションの目の前から見上げれば自室には電気が点いている
自分が居なければ家族が来た時以外に明るい窓を外から確認する事なんて無いから
そこに誰かが居るということ
更にはそれが好きで好きで大切で堪らない恋人だという事実
さっきまで抱えていたモヤモヤは一体何処へいったのやら
早く顔を見てキスをして抱き締めたい
今はその事だけで頭がいっぱいだった
はやる気持ちを何とか抑えながらエレベーターで部屋のある階へと向かう
*
*
「おかえり、たま」
「…ただいま」
玄関でいつもと変わらない笑顔で迎えてくれた愛しい存在をすぐ様ぎゅっと抱き締め腕の中に閉じ込めた
「ガヤが…、俺の家に居てくれてる…」
「ふふ。そうだよ? 今回は俺の番だからね」
彼がくすくすと笑えば触れてる所から直に伝わってくる僅かな振動
首元に顔を埋めて思いっきり空気を吸い込んだ
鼻腔を擽る大好きな甘い香り
回された手が優しく自分の背中を撫でる
伏せてた顔をほんの僅かに上げ首にチュッ、とキスを落として擽ったそうに身じろいだ身体を抱き締めたまま次は大好物の唇に自らのそれを押し付けた
きゅ、と服を申し訳なさ程度に掴まれれば余計に気分は良くなる
片手で後頭部、もう片手で腰を支えながら唇の繋がりをより深め隙間から割入れた舌で口内をかき回す
「…………ん、っ……」
不意に恋人の喉から漏れた声
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kurumi(プロフ) - yuzu_さん» ほんの少しでも日常の楽しみの一部になれていたのなら筆者としては何よりです。ありがとうございます。私としても二人の生活をまだまだ書きたい欲はあるのでまた機会がありましたらよろしくお願いします(´˘`*) (2022年6月26日 11時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
yuzu_(プロフ) - 毎日このお話が更新されてるか楽しみにしてました!また続編が見られますように。。!更新お疲れ様でした! (2022年6月25日 13時) (レス) @page49 id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
kurumi(プロフ) - かなさん» これからどんどんモブ女性が掻き乱してくれるので(笑)暫くモヤモヤさせてしまうかもです(^ω^;)💦どうか、暖かく見守ってあげてくださいm(*_ _)m(笑) (2022年5月9日 18時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 読んでるこちらもTさん同様既にモブ女性に嫉妬し始めました(笑)モヤモヤしながら読むと思いますが更新が楽しみです。 (2022年5月8日 18時) (レス) id: 19b3f9018a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kurumi | 作成日時:2022年5月7日 2時