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T side


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自分も彼も、相変わらず有難くも多忙な日々を過ごし、
ゆっくり会える時間も取れず、気付けば「会いたい触れたい」と常々考えてしまうぐらいに恋人が不足してる状態だった

今までにもまともに会えない日が続くなんて珍しく無かった筈なのに

自分はこんなにも我慢強くなかったのかと思いつつも、今日は7人揃っての番組収録

直接触れ合えずともそれはイコールで恋人にも久しぶりに会えるということ

早朝からだったドラマ撮影でも「朝早かったのに元気だね」なんて共演者に突っ込まれてしまう程、明らかに浮き足立っていた

それでも笑われて恥ずかしいという気持ちより何より、

一分一秒でも早く、恐らく先に全員揃ってるであろう楽屋に着いて電話越しじゃない、例え挨拶だけでも言葉を交わして顔を見たい

その想いで頭は一杯だった

テレビ局の駐車場に車が止まり、少しばかり急いで降りればマネージャーに「転ばないでくださいね」とこれまた笑われてしまう

メンバー内で付き合ってる事は当然知らない相手だから、7人揃っての仕事に浮かれてる

とでも思われてるだろう

この番組収録の時に使う楽屋はいつも同じ所な為迷う事も無い

真っ直ぐ目的の部屋に向かっていると、




「……っ、！」




長く伸びる廊下の向こう側

ほんの数秒の時間だが、確かにそこを通り過ぎたのは

恋人にしつこく言い寄ってきてる例のスタッフ、村井さんだった

…なんで、今日、此処に……

映画関係の取材か何かでも…？

それにしたって彼女がその現場にわざわざ来るというのは、聞いている立場からして必要性を感じない

…となればやはり目的は、




「…ガヤ…、」




彼を会わせたくない

思わず止めてしまった足を動かし楽屋へと急いだ








「ガヤちゃん？ さっき今日の司会の事でニカと一緒に呼ばれてたけど、」




いざ楽屋に着けばそこに恋人の姿は無かった

自分の姿を見つけ「おはよう」と挨拶してくれた千ちゃんに何処に行ったか知らないか、と聞けば返ってきたのはニカと呼ばれてたという答え




「もうすぐ戻ってくるんじゃないかな。 …そんなに急いで会いたかったの？愛されてるねぇガヤちゃん」




ニコニコと楽しそうに笑顔を浮かべる千ちゃん

深く突っ込む事をしてこないのは、何か勘違いしてくれたらしい彼の天然さのおかげかもしれない




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