キミとのキセキ

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そっと顔を上げれば宮田に頭を撫でられながらも未だ状況が飲み込めてないひろは不安そうに眉を下げてるがもう、そんな表情ですら愛おしくて堪らなかった


…ああ、その小さな体を今すぐ抱きしめたい


可愛い自分の子供や園児が似顔絵を描いてくれた親や幼稚園の先生はこんな気持ちなのだろうか

たかが似顔絵。されど似顔絵。

嬉しいや幸せという言葉だけでは言い表せない程の高揚感が胸の中を占めていた

ずずっと鼻を啜り、今一度画面の向こうの二人を見つめる




「ひろ、ありがとう。凄い嬉しいよ。帰ったらまた見せてね」




そう言えばやっと喜んでる事が伝わったのか、

パァっと笑顔になり早速「たいすけ、はやくかえってきて！」と早急な帰宅を求められる

帰れるものなら今すぐにでも帰りたい

ただそんな大人気ない姿を見せる訳にもいかず、

零れそうになった言葉をぐっと飲み込んで「仕事頑張ってくるね」と伝えた




「それじゃぁ、そろそろ戻るね」

『うん、午後も頑張って〜』

『たいすけ、がんば！』

「ありがとう。ひろも良い子にね。 みやも引き続きよろしく」

『行ってらっしゃい』

『いってらっしゃ！』




名残惜しいが通話を切り、小さく息を吐いた

座ってるロケバスの座席の背もたれにゆっくり体重を掛ける

ひろの為、と言いながら結局は自分の為だったのかもしれない

本来ならスタッフに伝えた通り仮眠を取ったりして少しでも体力の温存、回復をする所だが

今回ばかりは寝る事よりも、小さい彼と画面越しでも会話をする方が自分にとっては圧倒的にこの後のやる気に繋がるというもの

昼休憩前までの進み具合であれば、まだ半分は残ってる状態だけど、このまま順調にいけば予定の夕方頃には無事撮影も終えられるだろう

大きく伸びをして時計を見る

再開時間までは後もう少し

意表を突かれたひろからのサプライズでメイクが崩れなかったか鏡で簡単に確認をし(泣いてない…筈だが痕が残ってたりしたら恥ずかしい)、

念の為直して貰おうとロケバスを降りてメイクさんの所に向かった






「たいすけー！」

「ただいま、ひろ」




あの後のロケは希望通りというか、

とてもとても順調過ぎるぐらいにスムーズに進める事が出来た

スタッフ、共演者にこぞって「何か機嫌良いね」と突っこまれてしまう程自分は分かり易く笑顔が多くなってた様だが、

まぁそれは仕方ない




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