キミとのキセキ

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昨日の宮田の話だと最初に質問攻めにしてしまった事で多少怖がらせてしまったとは言っていたが、謎は残るものの元々メンバーを認識していたのと、その後何だかんだである程度打ち解けていた事もあり今の北山も彼等に会う事に対しては特に抵抗も無い様子だった

マンションの下に到着していたマネージャーの送迎車でいつもの様に目的の場所へと向かう

車内は基本カーテンを閉め外から中が分からない様にしているが、今日は僅かに開けた隙間から楽しそうに北山が流れる外の景色を眺めていた




「藤ヶ谷さん。先程、事務所から正式に発表されました」

「…そっか、」

「まだ皆さんの反応は分からない様なのですが…」

「大丈夫。誰かしら見てるだろうから。後で聞いてみるよ」




昨日事務所から言われた

まず世間には、北山は入院し暫く療養に専念する
と公表するという対処方法

そして同様に提示された二週間が限度という期限

何をどうすればいいのかも分からないが、何もしない訳にもいかない

今隣で無邪気に車の外を見てはキャッキャしてるこの彼が所謂、"元の姿"に戻らなければ…

今後のグループがどうなるかも正直不透明な状態

小さな彼とただ日々を健やかに過ごしていれば良いだけではないのが現実だ




「どうしたもんかな…。なぁ、北山…」




すぐ近くの背中にも届かないぐらいの小ささで言葉を溜息と共に吐き出した






「あ、ガヤさんおはよう」

「ちびミツおっはー」




事務所の会議室

元々今日は今度のアルバムに向けてまずメンバーでの打ち合わせをする予定だった

もちろん、本来の北山も含めた全員で

ただ昨日突然変わってしまった状況に一度話し合いの場を設けた方がいいだろうという提案でアルバムの打ち合わせはそのままに、どうしていくかの相談も行う事になった

参加するのはメンバーのみで、居たとしてもマネージャーや事務所の関係者で事情を知ってる人達ばかり

一人だけ置いてくる訳にいかないのもあり、北山も同席させようとなった




「おはよう」




部屋に入れば他のメンバーは既に揃っていた

口々に挨拶をする中、当然皆北山にも声を掛けるのだがさっきまでの車での様子とは打って変わって抱きかかえてる腕の中で皆の方を一度見てはくるっと向きを変えて顔を胸に埋めてしまった




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