キミとのキセキ 2

☆ ページ39

*




今日一番強く、可愛い事しかしない愛おしい存在を抱きしめる

これから毎日、この無自覚にも理性の壁を易々と壊しにかかってくる存在に対抗していかなければならないとは…

考えただけで先が思いやられる




「…俺が襲っちゃわない様に」

「！！ …が、頑張りマス……っ」




…ああ、そうやって

"俺の為に"て

頑張ろうとしてくれちゃうもんだから、

時間が欲しいって言ったのはそっちなのに

早くしなきゃと、急がせるつもりなんてないのに

その気持ちだけで今は充分だから




「…ふふ。嬉しいけどね？ほんと、無理はしないで。 ひろの心がちゃんと準備出来てからで大丈夫だよ」




その代わり、待った分だけその時には全身とろっとろに蕩けるぐらい隅々までたっぷり愛してあげるから

覚悟してよね？

…なんて、今はまだ言えるわけない言葉はそっと自分の中だけで飲み込んだ




「ご飯、行こうか。 風少し冷たくなってきたけど寒くない？」

「…ん。 寒くはねーけど…、」




先程好物の肉を食べたいと言った北山はきっとそれなりにお腹が空いているだろうし、

自分も正直空腹感は少し強くなってきてる

身体が冷えても困るしこれ以上あまり長居する理由も無いだろうと、早々に前へ進もうとした身体が僅かな力によって引き止められた

引っ張られた方を向けば顔は俯いたまま、

申し訳なさ程度に北山の右手に自分の左手が握られてるのが見えた




「……手、は、繋ぎたい…」

「……っっ」




こちらの様子を伺うみたく上目遣いで見上げてくる大きな瞳

今日何度目かの"無自覚"攻撃に脆く頼りない壁が早くも崩れ落ちてしまいそうな、

そんな予感に盛大に頭を抱えたくなった

だから、そういうところがほんとに、もう…

…頼む、まだ耐えてくれ俺の理性

この小悪魔との攻防はまだまだ始まったばかりだから









fin.

_

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)

←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す