キミとのキセキ 2

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様々な考えが脳内を過ぎるもとにかく、少しでも、一分一秒でも早く家に辿り着きたい


早く、早く…


と焦る気持ちを落ち着かせる様に手を握り車の外の流れる景色に目線を移した






自宅マンションに車が着き、マネージャーへの挨拶もそこそこに急いで家へと向かう

待っている時も乗った後も、

こんなにもエレベーターの速度が遅いと感じるのかと思う程いつもよりゆっくりと動いている感覚だった


エレベーターが到着して扉が開き切る前にすり抜けて渡り廊下を走る

既に出していたカードキーを当て、重いドアを開けたと同時に家の奥に向かって名前を叫んだ




「ひろ！」




"たいすけー！"




いつもなら間髪入れずに即あの可愛らしい声が聞こえてくる筈


………だけど




「……？」




廊下の先、リビングは電気が点いてるものの返事も無いどころか家の中はシンと静まり返って物音もしない

…もしかして本当に寝ている？

とにかく上がろうと靴を脱ぐ際に、

何故か玄関に寝室に置いてある筈の踏み台代わりの折り畳み式の椅子が倒れてる事に気付いた

何で、此処にこれが…

疑問に感じながらも廊下を進む




「…ひろ？」




ほぼ開けっ放しの状態のリビングのドアを通り過ぎ、

まずソファを確認するもひろは居ない




「…あれ……」




慌ててキッチン、ベランダ、寝室、ほぼ物置になってる部屋、トイレ、お風呂

家の中を順番に見ても何処にもひろの姿は無かった


…どうして……、




「………ぁ、」




ふと、玄関に倒れていた椅子の存在を思い出す

一瞬、嫌な予感がして急ぎ玄関に戻り、シューズボックスを開けると…




「………無い…」




一番下の段、一番右側にひろお気に入りの靴を入れていた
それが見当たらない

すぐ近くに倒れている折り畳み式の椅子

…ほとんど開き切っていたリビングのドア




「………まさか……っ、」




家に着いてから不可解に感じてた点が一気に繋がる

当たって欲しくない予感を的中させるにはあまりにも確定要素が多い

どっと押し寄せる不安

一気に心拍数が上がり、冷や汗が背中を伝った



…どうしよう……、……どうしよう……っ、



きっと、彼は恐らく、自分を探しに








一人で外に出たのだろう








「………っっ、！！」




そう気付いた瞬間、考えるよりも先に靴を再度履きバッグを掴んで家を飛び出した




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