キミとのキセキ 2

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「ん？」

『そういえばさっき……、…いや。やっぱ今は止めとく。ゆっくり話せる時に言うよ』

「ええ？何それ気になるんだけど」

『気にするな、仕事に集中しろ。 そろそろ時間だろ？じゃあ頑張ってこいよ』

「ちょっとわた…！」




こちらの引き止める声も聞かず、ほぼ一方的に電話を切られてしまう

通話終了の無機質な機械音が耳元で鳴り響く




「…何言いかけたんだよ…」




そっと耳から離し、アイコンが並ぶ待受画面に戻ったスマホに目線を落として小さくボヤいた





「お疲れ様でした。お先に失礼します！」




結局撮影は予定より4時間強押して何とか終了となった

無事に今日撮らなければならない部分を終えられてホッとしてる反面、

既にひろが家で一人になってから一時間は経ってしまってる状況に焦りしか出てこない




「藤ヶ谷さん先に下に行って車回しておきます！」

「お願い！」




スタッフさんや共演者の方々に挨拶をし、バタバタと現場を後にする

何をそんなに急いでるんだ、と思われそうでも今はそんな事気にしていられない

いつもはメイクも落としてから帰宅するがその時間も惜しい

家にもクレンジングはあるから何とかなるだろう

楽屋で衣装から私服に着替えマネージャーが回してくれてる車に乗る為建物の一階に急いだ

自分が乗り込みシートベルトをしたと同時に車は勢いよく発進する


聞いていた通り、親友と千賀は出発を一時間後倒ししてくれて。その後すぐに玉森が30分程来てくれていたとの事

一人で留守番する事になる旨は親友がひろに話してくれたそうだが…

彼なりにある程度理解はしてる様子もやはり一人になる瞬間には二回とも多少グズってしまったらしい

それもその筈

例えば、身体だけ子供になって中身はそのままの状態なら、多少の不便があるだけで一人で過ごすのは特に問題ないだろう

でもひろは、今の北山は身体も中身も何もかも全てが"小さな子供"だ

安全な様で一人なら家の中でも危険が伴う

何かしたくても大半が大人の手を借りないと難しい事だらけ

致し方ないとは言え、そんな状況で小さな子供を家に一人で待たせている事実が心苦しい


今頃彼は一人が寂しくて泣いているだろうか…

泣き疲れて、ソファで眠ってしまっているだろうか

もしくは意外にケロッとしてたりしないか

お気に入りの玩具で一人遊びを楽しんでくれていたりしないか




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