ぼくらのせんせい。 s×s

#25 ページ27

＊




智 ｢…ねぇ、翔くん？｣


翔 ｢ん？｣


智 ｢ありがと。｣


翔 ｢？｣



智 ｢翔くんは。

知らないところで、
いっぱい頑張ってたんだね。｣


翔 ｢…｣


智 ｢不安かけないようにしてくれてたんだね。｣


翔 ｢…｣




智 ｢ふふ、翔くんも苦手だなんて知らなかったよ？｣


翔 ｢まぁ…｣


智 ｢おいらもがんばるから。｣


翔 ｢ん。｣



智 ｢翔くんのお話聞けて、ここにこれてよかった。｣


翔 ｢うん、よかった…｣



智 ｢れんとげん？ってやつ…

…今日なら…できるかな…？｣


翔 ｢えっ…いいの？｣



智 ｢こくん。

今日がんばらないと、
ずっとできないような気がして。｣


翔 ｢わかった。ありがとう。｣


智 ｢うん。｣




少しだけお話して。
診察室 っと書いた扉を開けて中に入る。

少し暗いかな。
本当は休みだもんね。


｢あっちの部屋は治すところだよ。｣

赤と青のカーテンがついた部屋が1つずつ。
あそこで治療をするんだね。




智 ｢翔くんは赤？｣


翔 ｢はは、そうだね。
赤の方が基本的に多いかな。｣



智 ｢…やっぱり。｣


翔 ｢はは、そう？｣




だって、
赤って翔くんに似合っている色だもん。


そう思っていると、今日はここだよ。っと…


赤と青の部屋よりも
手前にある白い扉の部屋。




智 ｢ここ…？｣


翔 ｢うん、ここだよ。
ここはレントゲンとるためだけの部屋。｣


智 ｢あっちじゃないんだ…｣



翔 ｢そうだよ。｣


智 ｢よかった…｣



翔 ｢あっちの部屋は、
まだ、ゆっくりでいいからね。｣


智 ｢こくん。｣




優しい翔くん。


歯医者だけど、
翔くんが微笑んでくれるとすごく安心する…



翔 ｢ここに座ってレントゲンとるからね。｣


智 ｢ここで…？｣


翔 ｢そうだよ。
…ここに座って、口の中にフィルムを少し挟んで…写真を撮るよ。｣


智 ｢やっぱり…口開けなきゃだめ…？｣



翔 ｢そうだね。
でも、この前…家で練習した時、上手に出来てたよ。｣


智 ｢ん…でも…｣



翔 ｢智くんができるようになるまで待つから大丈夫だよ。｣


智 ｢こくん…｣



この間、フィルムだけ持って帰ってきてくれて…練習をしたんだ。


翔くんはそうやって、
歯医者で本来はすることを…

先に少しだけ家でしてくれる。


でも、やっぱり…


歯医者に来ると…
緊張感とかも雰囲気とかも増えて。


なんでだろう。

翔くんは翔くんなのにね…






＊

marie.＊ 12.1→←#24

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