こちらアイラ探偵事務所です。

第21話【宮嶋 明人】 ページ22

携帯にメールが来た。
見ると三河宏の住所が添付されていた。それを確認して携帯をしまうと歩を進める。
ここからそう遠くはない。


全く、猫一匹に大袈裟だと高を括っていたがこれは面倒なことになりそうだと顔を顰める。報酬は中々だが、こちらとしては極力動きたくはないし働きたくもない。

どうせなら一日中事務所に籠って本でも読んでいるかバーに入り浸って酒でも飲んでいたいものである。

尤もそんなことをしていれば社長から大目玉を食らうのは目に見えているので仕方ないと空を仰いだ。
他の社員からも給料泥棒と陰口叩かれるだろう。



猫は俺と性が合わない。というより昔から何故か嫌われる。
小さい頃に猫を飼っていたことがあるが、それはもう対応が酷いものだった。
俺が近付けば姿勢を低くししっぽの毛を逆立てまるで大敵を威嚇するように唸り声を上げる。もしくは素早く身を隠す。そして壁から顔を覗かせ俺の様子を探る。
餌を上げようとすれば取り敢えず臭いを嗅いで食べようとはしなかった。
そのため猫は嫌いというほどでもないがどちらかといえば苦手なのである。
依頼、となれば話は別だがやはり複雑な心境になる。


「……あー、酒飲みてぇーな。
そういや俺昨日から飲んでねぇーじゃん」


　誰に言うともなく一人、そう零したのであった。

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