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「まー、寝たよ」
「ありがとう、潤」
櫻井は先日の検査結果に目を落としたまま答えた。
「異常所見はないはずなんだけど…。俺も異常はないと思うんだけどなぁ…。心臓に問題がないってことは呼吸器かなぁ」
ポツンと櫻井が呟いた。
「俺もそう思う。肺かなって」
「はあ。今まで避けてきたけど、気管支鏡やらないとダメかなぁ…」
頭を掻きながら言う櫻井は、内視鏡専門医の資格を有していた。
だが、そんな櫻井の技術をもってしても、この検査の苦痛を取り除くことは不可能だ。
「とりあえず薬で様子を見よう。むやみに苦しませたくない」
櫻井はカルテを閉じた。
その後来院した患者の診察を終え、診察終了の札を出し、雅紀が眠る部屋に入る。
布団から出された足に手をやるが、今日はむくんではいない。
自分は丈夫な体のおかげで殆ど病気にかかることもなく医者になった。そんな自分は病弱な雅紀の気持ちを本当に理解することはできないと櫻井は思う。だからこそ、彼に寄り添いたかった。
「こんばんは」
待合室から智くんの声が聞こえた。
「ごめんね、翔くん。ありがとう」
「うんうん。雅紀、まだ寝てるから少しいい？」
電話で大まかに雅紀の様子を伝えたが、再度詳細に伝えた。
「雅紀、どうしちゃったんだろう…。呼吸が乱れる事以外は、普段通りなんだけどね」
ということは心因性のものではないということか…
「しばらく薬で様子見ようと思う。薬で改善が見られなかったら検査をしたいんだけど」
「検査…。翔くんがやってくれるの？」
「うん、俺がやるよ。ただ、苦痛を伴う検査だから、まだやると決めたわけじゃないんだ。智くんにだけ伝えようと思って」
智は頷きながら櫻井の話を聞いた。
本当は検査をしたら何かわかるのかもしれない。でも、雅紀の苦痛を最小限にしようと櫻井は検査をむやみにはしないと決めていた。
「ありがとう、翔くん。翔くんなら、俺、安心だわ…」
「え、もう、突然何？」
そう言って、櫻井は笑うけれど、智の嘘偽りない気持ちだった。
しばらく話し込んでいると、松本が顔を出した。
「まー、起きたよ。でもなんか熱い気がする」
そう言って松本は体温計を取りに行った。
ベッドに座る雅紀は少し怠そうだ。
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いずみ(プロフ) - るんるんさん» 初コメントめちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます！楽しみにして頂けて幸せです。これからもよろしくお願いします。 (2020年4月13日 16時) (
レス) id: 3797474e34 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん(プロフ) - この後どうなるんだろ…って毎日ドキドキしてます！これからも応援してます！ (2020年4月13日 11時) (レス) id: 5f4c3622e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いずみ | 作成日時：2020年4月4日 1時
