躾 11 ページ11
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目が覚めると、寝る前の記憶が急に蘇ってくる
今でも残る、彼との生々しい口づけの感覚
それがどうしようもなく気持ち悪かった
口の中の唾液は全て彼のものではないのか、そう考えたらキリがないが、余計な事を考えれば考える程吐き気は増すばかりだった
隣には気持ちよさそうに寝息を立て眠る彼の姿があった
あの後結局彼も寝てしまったのだろうか、服装も寝る前と同じだった
起き上がっても彼は起きてしまうだろうし、できる事なら起きて欲しくはない
二度寝をしてみようと何度も試みたが、全て失敗に終わる
彼の方を向き、まじまじと彼の顔を見つめていると、やはり整った顔をしているんだなあと改めて感じる
こんなに綺麗な顔の人なら、私ではなく、もっと素敵な女性に出会えたはずなのに
『なんで…?』
何故私が選ばれたの?
ど う し て ?
「…ん、Aちゃ…ん?
おはよう」
長い睫毛が動き、ゆっくりと瞳が見える
寝起きでまだ寝ぼけているのか、どことなくぽわぽわしている
『おはようございます…太宰さん…』
「うふふ、寝起きのAちゃんも可愛いね」
『…っ触らない、で…ッ!』
とろりとした目でこちらを見つめ、私の頬をさらりと撫でる
彼の体温が直に伝わり、気持ち悪さのあまり彼の手を弾いてしまった
『あ…や、違…ご、ごめ…』
「……まだ、君は
私を拒むのだね」
悲しそうな顔をして私を見つめる
そんな顔をしたいのはこっちだ
『…ごめ、ごめんなさ…っ』
「……うふ、うふふふ
このまま、私を拒み、私を恐れているといい」
『え…?』
かすれた声で彼が小さく呟く
先程までの悲しげな顔とは打って変わって、無邪気な笑顔へと変わる
次から次へと忙しく変わる彼の顔は見ているだけで充分恐怖の対象だった
「私は君にとって一番恐ろしいものだろう
それなら、このまま───────」
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茉耶 - 最近あひゃこさんの夢小説ばっかり見ていつも泣いてます!毎回いい作品をありがとうございます!!また太宰さんの小説書いて欲しいです! (2019年8月11日 16時) (レス) id: 2037e6e45f (このIDを非表示/違反報告)
−こま−(プロフ) - 太宰さんんんんん!!かっこいいーー!!!好きですううう!作者さんも、太宰さんも愛してます← (2018年11月22日 20時) (レス) id: 43a4a6fc1b (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - すっっっごい面白かったです!ヤンデレ文豪さん、ほわぁ…真逆中也さんがあんなことをしていたなんて、さいっっっこうのドンデン返しでしたっ!私あんまり死落ちのヤンデレさん好きではないんですけど、すっっっごい面白くて、好き以外に選択肢がなかったです。 (2018年7月28日 19時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - かしさん» コメントありがとうございます! いつも死ぬ時は大体途切らせちゃってるのでわかりずらいんですよね(><)すみませんm(_ _)m 閲覧ありがとうございます! (2018年6月19日 21時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
かし(プロフ) - 物凄く面白かったです!最後に夢主の回想が途切れた時はえ?あれ?タブレット壊れた?と思いましたが、そう言うことだったんですね! (2018年6月19日 17時) (レス) id: 5b825520a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:私です x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年3月27日 11時