誘拐 5 ページ5
・
『誰…誰が…こんな、こと、っ…!!』
キィッ─────────
ベッドから5m離れた真正面に、少し重そうなドアが1つだけあった
ゆっくり、向こうから誰かが入ってくる
私をここへ連れてきた人が
「やあ、こんにちは」
『え…?』
白い歯を覗かせニコニコと微笑む
いや、ニヤけていると言った方が正しいだろうか
「あれ、私の事忘れちゃったのかい?」
『忘れて、ないです…太宰さん』
太宰治
彼は中也の相棒で、たまに中也と一緒にいる所を見かけていた
直接話した事は数少なく、顔と名前程度しか把握していない
「それは良かった!あんまりAちゃんと話さなかったからね、覚えてもらえてないかと思っていたよ。」
『あの、ここは?どこですか?中也は…』
「ああ、ごめんね、まだ言ってなかっ たね」
ニコニコの笑顔から、まるで獲物を狩るような鋭く妖艶な目付きに豹変した
背筋が凍る
「ここは私達の家だよ」
『は…い?』
"私達"
とは?
達とは一体誰の事を指しているのか検討がまるでつかなかった
『あの、私達、とは』
「ああ、それは
─────────君と私の事だ。」
大事な事をあっさりと言いのけた彼に後ずさりをする
ここが、私と太宰さんの、家……?
彼は一体何を言っているのだろうか
私は昨日、中也と結婚して
中也と、同じ家に……
『や……いやっ!!…ゃ…ッ…!!』
身体中が震え、私自身が太宰さんを拒絶している
受け止められない言動に、突き止められた事実がどうしようもなく苦しかった
「……どうしてそんなに怯えているのかい?」
先程までニコニコと笑っていた顔が、悲しそうに私を見つめている
後ずさりをし続ける私に対抗するかのように、彼もじりじりと私の元へ歩いてきた
「…私は、Aちゃんを怯えさせる為に、ここへ連れてきたのではないのだよ?」
自らの背中がベッドの最奥まで達し、どこにも逃げ場が無くなった私に更に追い打ちをかけるように詰め寄ってくる
彼の足元は着実に私の元へ近づいてきて
ギシッ─────────
『や…来ないで…っ!』
逃げ場の無い私を弄ぶかのように、どんどん迫ってくる彼に震えが止まらない
「ねえ、どうして?」
『ひ…っ』
大きくて暖かい彼の左手が、私の肩をがっしりと掴む
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茉耶 - 最近あひゃこさんの夢小説ばっかり見ていつも泣いてます!毎回いい作品をありがとうございます!!また太宰さんの小説書いて欲しいです! (2019年8月11日 16時) (レス) id: 2037e6e45f (このIDを非表示/違反報告)
−こま−(プロフ) - 太宰さんんんんん!!かっこいいーー!!!好きですううう!作者さんも、太宰さんも愛してます← (2018年11月22日 20時) (レス) id: 43a4a6fc1b (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - すっっっごい面白かったです!ヤンデレ文豪さん、ほわぁ…真逆中也さんがあんなことをしていたなんて、さいっっっこうのドンデン返しでしたっ!私あんまり死落ちのヤンデレさん好きではないんですけど、すっっっごい面白くて、好き以外に選択肢がなかったです。 (2018年7月28日 19時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - かしさん» コメントありがとうございます! いつも死ぬ時は大体途切らせちゃってるのでわかりずらいんですよね(><)すみませんm(_ _)m 閲覧ありがとうございます! (2018年6月19日 21時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
かし(プロフ) - 物凄く面白かったです!最後に夢主の回想が途切れた時はえ?あれ?タブレット壊れた?と思いましたが、そう言うことだったんですね! (2018年6月19日 17時) (レス) id: 5b825520a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:私です x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年3月27日 11時