第19話(kn視点) ページ21
薄暗い空間の中で、
ゆっくりと目を覚ました。
もうすっかり西に沈んだであろう太陽の
橙色の気配も無く、目の前の白い壁も
暗がりに染まっていた。
体を起こそうと腕に力を入れる。
…しかし、それは叶わなかった。
今まで経験したことがない程に体がだるい。
何故こうなったのか。
そう思ったところで、ふと、手の甲が目に入った。
…昨日は確かにそこにあったはずの
紫の紋章がない。
…あぁ、そうか。
俺はBroooockに誓約を塗り替えられて…それで…
「目、覚めた?」
急に後ろから響いた声に肩が跳ねる。
ゆっくりと振り向くと、そこにはその声の主…
…Nakamuが、隣で横になっていた。
…そうだ。
Nakamuに助けて貰ったんだ…
「ぅ、わ…!?な、かむ_ッい"ッ…」
水色が隣で寝ていたことに驚いた俺は、
勢いよく起き上がろうとした。
すると、全身にズキリとした痛みが突き抜け、
俺はまた、力なくベッドに身を委ねた。
「ちょっ…大丈夫!?」
そう言って俺の背中をさする彼には、
さっきの黒い翼とは打って変わった、
純白の翼が宿っていた。
「わ、わるい…ありがとう」
「ううん、しっかり休めよ」
優しく微笑む彼の水色の瞳が、暗闇に光った。
その瞳が、やけに静かに俺を見つめる。
何か見透かされそうな感覚を覚え、
俺は彼から目を背けた。
しばらく、沈黙が続いた。
耐えきれない程に長く感じた沈黙を破ったのは、
彼の方だった。
「ねぇ、きんとき」
囁くような声に、胸の塊が強く脈打つ。
俺は、少し掠れた声で「なに?」と問う。
すると、彼はゆっくりと体を起こし、
俺をのぞき込むようにして、口を開いた。
「きんときが気を失う前に、
俺が言ったこと…覚えてる?」
ドキリと、痛いほどに胸が跳ねた。
俺は自分を落ち着かせるように、
ぎゅっと拳を握った。
…覚えている。
忘れるはずがないんだ。
初めて見た、彼のあの姿を。
…俺のために変わったあの姿を…。
俺はしばらく黙っていた。
覚えていないと言ったら、彼は悲しむだろうか。
覚えていると言ったら、気まずい空気にならないだろうか。
答えの出ない思考を巡らせていた、その時だった。
急に、より暗くなった視界。
強く握られた両手首。
脚の自由が効かなくなる程の重み。
_目の前の、水色の瞳の彼。
手首を掴み、俺に覆い被さりながら
彼は俺を見下ろしていた。
…現状が飲み込めたのは5秒後。
それと同時に、俺の顔にはぶわりと熱が集まった。
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しら(プロフ) - arisu(WT)さん» ありがとうございます(´;ω;`)励みになります...! (2019年2月3日 11時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)
arisu(WT) - どうもアリスです!これめちゃくちゃ好こです!更新応援してます (2019年1月26日 9時) (レス) id: e4d3d4fa63 (このIDを非表示/違反報告)
しら(プロフ) - イワシ君さん» はじめまして!読んで頂きありがとうございます(´;ω;`)頑張ります!! (2018年12月27日 21時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)
イワシ君(プロフ) - は、初めまして!とても楽しく読ませていただいています!もぉbroooock カッコよすぎです!応援してます!頑張ってください!! (2018年12月27日 19時) (レス) id: e9f141d671 (このIDを非表示/違反報告)
しら(プロフ) - 春雨さん» コメントありがとうございます!お褒めいただき嬉しい限りです(´;ω;`)これからも精一杯頑張ります…! (2018年12月11日 17時) (レス) id: 91f6d82092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しら | 作成日時:2018年12月2日 12時