突然後ろから抱きしめられた【中原中也】

24 ページ25

時刻は朝の６時頃。



あれから中也はポートマフィア専用の病院に運ばれ、私は探偵社に引き取られた。




本当は離れたくなかった。せっかく会えたのに、もうバイバイだなんて……国木田さんは鬼だ。




「お前はな！いつもいつも迷惑ばっかりかけおって！！」





「国木田さぁん。私一睡もしてないんですよ？それにシャワーだって浴びてないんですから」





言いたいことが分かる？



眠たくて寝たいのに、血だらけで気持ち悪くて寝れないの。




そこに国木田さんのお説教一時間。
過労死しちゃう






「まぁまぁ国木田くん。Aも反省してるでしょ？」





探偵社のドアを開けて入ってきたのは、包帯の面積がさらに増えた太宰さんだった。


その姿にほっとため息が零れる。




太宰さん無事だったんだ。






「太宰さん、無事で良かったです」






国木田さんを無視して駆け寄る。 後ろから怒鳴り声が聞こえたけど気にしない。





「やァA。中也と一日一緒にいたそうじゃないか。それに、襲撃されたって？」





表情ひとつ変えずに言い切った彼は私の肩に手を置いた。

何をするんだという視線を向けると、おデコに衝撃が






「あでっ」





「とりあえずシャワー浴びといで。ベタベタで気持ち悪いんだろう？」





デコピンを食らわされた私は太宰さんの言葉に目を輝かせた。





「すぐ浴びてきます！！」






敬礼のポーズを取り、太宰さんの後ろのドアから廊下に出た。





「おいA！まだ話は終わってないぞ！！」





ごめんなさい国木田さん。
私、探偵社にはこれ以上居られなさそうです。
たとえ恩があったとしてもポートマフィアの五大幹部と一日過ごした。
それがどれだけの罪なのか…



探偵社側としてはけして許されない事。




誰にも見つからぬよう自分の寮に戻り、着替えを持って風呂に入った。
チョーカーは取れなかったのでそのままだ。






「中也今頃どうしてるかなぁ…。もう会えないのかな」





こんな事になるんだったら、好きになるんじゃなかった。





「だぁああっ！もう！！中也の馬鹿！」





風呂場に自分の大声が響き、やがて静かになった。






「昨日の事が、夢だったら良かったのに」






昨日の出来事が夢なら、どんなに良かったんだろう。
私が中也を好きなる事はなく、平和に暮らしていた。





「当たって砕けるしかない」






ポートマフィアに行こう。
それで気持ちを伝えて、砕ける。

25→←23

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す