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「お前さ、探偵社のもんだよな?」
「あんた誰。中也は?中也はどこ?」
無精髭の男はクツクツと笑った。
一歩、また一歩と近づいてくる。
私は壁にもたれていたということもあり動けない。
「中原中也だろ?上で部下と遊んでる。で、お嬢ちゃん。お前を武装探偵社に連れて帰る」
私の二m離れたところに止まると、私の方に手を伸ばした。
武装探偵社?さっきも探偵社のもんだよなって言ってたけど、こんな人は探偵社には居なかったはずだ。
だとすれば
「私を探偵社に売り飛ばそうって考えですか?」
金稼ぎ。
こんな事話してる暇はないのに。
今すぐに中也に会って安否を確認したい。
中也…無事だよね?だって、帰ってくるって言ってたし
「売り飛ばす?そうだなぁ、間違ってはいねぇ。探偵社はお嬢ちゃんを血眼になって探してる」
「なんで……有り得ない」
探偵社が私を血眼になって探してる?
そんなの有り得ない。だって、私は異能力もない只の一般人じゃないか。
そんな奴に価値はない。
探偵社に入れたのも、きっと何かの運で…
「なんだ、知らねぇのか。……まあいい。ほら、行くぞ」
伸ばされていた手が私の手首に触れる。
その瞬間、私の体は大きく拒絶した。
___気持ち悪いッ
今まで感じたこともなかった感情が押し寄せ、私は床を大きく蹴って走り出した。
「あ、おいっ!どこ行く!」
ただひたすら走った。
中也ッ…どこにいるの?
今すぐに会って、ただいまって言って。
___きっと無事。
そんな考えは、あっけなく崩れる。
「ポートマフィア五大幹部ってのも、案外ちょろいもんだな」
ちょうどリビングに着いた時だった、鈍い音と共にそんな声が聞こえた。
脳の中にある中也の声と重ねてみるが、どれも違う声。
中也、中也どこ?
「ちゅ、…や」
男どもの中心に倒れている人が目に入る。
あれは、誰…?
周りの音が一瞬にして聞こえなくなった。
「中也ッ!!どいて!中也から離れて!」
止血、止血しなきゃ!
まずは血を止めて、それで、与謝野さんに見せなきゃ……それで、それで
____カチャ
中也の傷口を手で押さえていると、後頭部から聞きなれない音が聞こえた。
全神経が後頭部に注がれ、冷や汗がぽたりとカーペットに落ちた。
それは徐々に広がっていく。
中也の血と混ざって、滲んだ。
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ユリア(プロフ) - 最初はいい感じだったのに、途中から険悪な雰囲気になっててどうなるかと思いましたが、お互いに仲直りできたみたいでよかったです!素晴らしい作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 15時) (レス) @page37 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - ochanekosakuraさん» こちらこそ最後までありがとうございました!泣けるような作品をかけて良かったです(*´∀`)-3 (2017年8月26日 3時) (レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 完結、おめでとうございます!! (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 中也推しの私は、最後泣いちゃいましたァ笑天さん、素晴らしい作品を、ありがとうございます!! (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
天さん - ユウギさん» な、なんと嬉しいお言葉を(´;ω;`)ブワッありがとうございます!続編の方も頑張りますので!(*・ω・)*_ _)ペコリありがとうございました!! (2017年3月17日 0時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時:2017年1月30日 1時