21 ページ22
「ここで大丈夫…かな？」
やってきたのは地下。
なんで普通の家に地下があるんだっていう疑問は、中也がポートマフィア幹部という事を思い出して消え去った。
ジメッとした匂いが鼻につく。
「早く終わんないかなぁ」
適当に腰掛けれる場所で一息つきながらそんな事を呟いた。
中也はポートマフィア幹部だし、何かの恨みとかで襲撃しに来たとか？
それで私を人質にして……とか？
……うわぁ。冗談に聞こえない。
「中也のバカ…一般人巻き込むなっつうの」
ぴちゃんと水滴の弾ける音がすぐそこで聞こえた。それ以外の音はない。
私だけの世界みたい……なんて柄にもなく考える。
これからどうしよう。
探偵社に一回行こうかな。太宰さんがどうなったか知りたいし。あ、国木田さんには説教されそうだな。
国木田さんが書類の角で太宰さんの頭を叩いているのが想像ができて、思わず笑ってしまった。
「方向音痴にさ、道案内なしで探偵社来いってさ、国木田さんも無茶なこと言ったよね。それのせいで中也に捕まったんだよ？帰ったら書類の角で頭叩いてやる」
次から次に独り言が増えていく。
ふと頭に浮かぶ人物はただ一人。
「中也。誘拐犯に恋ってさ……いいのかな」
いつからこんな感情があったかなんて知らない。
今日一日、中也を見ているだけで胸が締め付けられた。
許されることなら、私は中也とこれからも一緒にいたい。
でも、中也はポートマフィアで、私は武装探偵社。
禁断の恋なんて小さい頃の憧れで、本当になったらなぁ…なんて思っていた。
でも、こんなにも辛いなんて…。
絶対に結ばれないよ。この恋は。
「好きだって言ったら、今度こそ殺されちゃうね」
首元に付いているこれで、私は簡単に死ねる。
どうせなら中也に殺されたいなぁって。
「苦しいよ…。中也は私の事、どう思ってるのかな。ただの道具？それともうざい女？中也イケメンだから彼女とかいそう」
膝に顔を埋めてブツブツ呟く。
そうして何分経ったのか、コツと足音が地下に響いた。
「中也？」
階段の方へと視線を移し、返事が来るのを待っていた。
だけど、一向に返事が来ない。
驚かそうとしてるのかな？
「中也ぁ？」
「すげぇ。本当にいやがった」
「…………だ、れ？」
階段から見えた顔は、中也じゃなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユリア(プロフ) - 最初はいい感じだったのに、途中から険悪な雰囲気になっててどうなるかと思いましたが、お互いに仲直りできたみたいでよかったです！素晴らしい作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 15時) (
レス) @page37 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - ochanekosakuraさん» こちらこそ最後までありがとうございました！泣けるような作品をかけて良かったです(*´∀｀)-３ (2017年8月26日 3時) (レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 完結、おめでとうございます！！ (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 中也推しの私は、最後泣いちゃいましたァ笑天さん、素晴らしい作品を、ありがとうございます！！ (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
天さん - ユウギさん» な、なんと嬉しいお言葉を(´；ω；｀)ﾌﾞﾜｯありがとうございます！続編の方も頑張りますので！(*･ω･)*_ _)ﾍﾟｺﾘありがとうございました！！ (2017年3月17日 0時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天さん | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2017年1月30日 1時
