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「もういいのか?」
「はい。ありがとうございました」
流れ続けていた涙はいつの間にか止まっていた。
ふと中也の服を見て私は言葉を失った。
「何見てんだよ」
「え?あ、いやっ……ちゃ、炒飯冷めちゃいますよ!」
やばい。非常にまずいよ。
感動シーンを壊すようなことはしたくない。
でも、これは……
「あの、中也。その、ごめんなさい!!……鼻水、ついちゃった」
「あァ?………………どうにかなんだろ」
おい。その間は何だ。
でもこれは私の責任だし、何も言えない…
「先食ってろ。ちょっと着替えてくる」
「あああああっ!本当にごめんなさいっ!」
もう一度深々と頭を下げて謝る。
これ私の首飛ばないよね…?
「気にすンな」
ふっと笑って中也は部屋を出た。
「はああ…何やってんだろ私。まさか誘拐犯に泣き姿見られるなんて…」
炒飯とスプーンを持ってソファへと戻った。
一口よそって口に含む。
口の中に広がる美味しさにソファを叩いた。
「何この美味しさ!料理人になれるんじゃない…?」
ぱくぱくと次々に炒飯を口に運んでいく。
あっという間に皿は綺麗になった。
「そういえば、中也遅くない…?」
皿とスプーンを机に置いて立ち上がった時だった。
_____ガンッ!!
「ひっ!」
なに、今の音…
どこからか聞こえた音に体が震える。
ちょっとやめてよ…洒落になんないんだから
音の方へと顔を向けると、そこには一枚の窓ガラスがあった。
カーテンが閉ざされており外の景色は見えない。
ゆっくりと近づいてカーテンの隙間から覗き込む。
なんだろ…なんか光ってる?
「____馬鹿ッ!しゃかんでろッ!!」
「___え?」
横に顔を向けようとしたが、体に何かが突進してきて後ろに倒れ込む。
と、その瞬間に一発の銃声が鳴り響き窓ガラスが割れた。
破片がパラパラと落ちてきている中、私は目を見開いた。
そこはまさに今さっき覗いていた場所だったからだ。
「糞ッ……こんなタイミングに来やがって」
私の体にのしかかっていた人が舌打ちをしながら窓の外を睨みつけた。
その声は今さっきまで聞いていた声____
「ちゅう、や」
それは、私の顔の横に手をついている中也だった。
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ユリア(プロフ) - 最初はいい感じだったのに、途中から険悪な雰囲気になっててどうなるかと思いましたが、お互いに仲直りできたみたいでよかったです!素晴らしい作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 15時) (レス) @page37 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - ochanekosakuraさん» こちらこそ最後までありがとうございました!泣けるような作品をかけて良かったです(*´∀`)-3 (2017年8月26日 3時) (レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 完結、おめでとうございます!! (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 中也推しの私は、最後泣いちゃいましたァ笑天さん、素晴らしい作品を、ありがとうございます!! (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
天さん - ユウギさん» な、なんと嬉しいお言葉を(´;ω;`)ブワッありがとうございます!続編の方も頑張りますので!(*・ω・)*_ _)ペコリありがとうございました!! (2017年3月17日 0時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天さん | 作者ホームページ:http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時:2017年1月30日 1時