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「ンだよ」
「いや、卵割れるんだなぁと」
外套と帽子を取った中也が台所に立っている。
あの、ポートマフィアの幹部様が台所に立っているのだ。
これは凄い…！
「馬鹿にしすぎだろ。俺だってなぁ少しくらいは作れるんだ…よっ」
フライパンを器用に動かして卵を広げていく。
そこにレンジでチンしたご飯を豪快に入れた。
その姿に私はどこか懐かしいものを感じていた。
それはきっと、私のお母さんに似ている作り方だったからだ。
炒飯を作って欲しいと頼んだのは、きっと私の甘え。
久しぶりの家に、ご飯を共に食べれる人。
それを昔に重ねたかったのかもしれない。
お母さんは炒飯を作る時、私にこんな事を言ったのを覚えている。
『卵を割れない男とは結婚しないこと！炒飯も作れないような男に恋なんて無理よ！』
そういってお母さんは皿に盛り付けていくんだ。
意味わからない言葉に私はよく笑わされたものだ。今思えば仕事帰りが遅い事を気にして少しでも楽しませてくれてたのかもしれない。
そして今、目の前の中也が皿に炒飯を盛り付けていく。
「お、かぁ…さん」
「あ？んだよ手前…っ……なんつー顔してんだよ」
目尻が熱い。鼻が痛い。
こんなのいつぶりだろうか。
ふいに頬に何かが触れる。
「母親の事思い出してんのか？」
それはどうやら中也の手だったようで、手袋ごしでもその暖かさがわかる。
「うんッ……でも、だいじょーぶだよっ」
嘘。大丈夫なわけがない。
本当は体が震えてるくせに。
泣きじゃくって愚痴って、あの葬式の日に泣けなかった自分を誰かに分かってもらいたいだけなんだ。
「はァ。誘拐犯が言うのもおかしいが…。俺ならいつでも話聞くぜ」
ぽんっと頭に置かれた手が、お母さんに似ていて…。
「…うんッ」
今まで笑ってたからかな…？
涙が止まんない。
一度溢れでた感情は止まることなく流れ続ける。
私が寂しいと言ったら、中也は遠慮がちに背中に手を回した。
僅かに見える耳は赤く染まっている。
「ふふっ。さっきと逆ですね」
「そーだな」
ぶっきらぼうに返された言葉だけど、背中に回る手がほんの少しだけ強くなった。
誘拐犯に何してんだろ私…。
そんな考えも頭にあったが、今は何も考えないことにした。
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ユリア(プロフ) - 最初はいい感じだったのに、途中から険悪な雰囲気になっててどうなるかと思いましたが、お互いに仲直りできたみたいでよかったです！素晴らしい作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 15時) (
レス) @page37 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
天さん(プロフ) - ochanekosakuraさん» こちらこそ最後までありがとうございました！泣けるような作品をかけて良かったです(*´∀｀)-３ (2017年8月26日 3時) (レス) id: e35c262d1b (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 完結、おめでとうございます！！ (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
ochanekosakura(プロフ) - 中也推しの私は、最後泣いちゃいましたァ笑天さん、素晴らしい作品を、ありがとうございます！！ (2017年6月23日 22時) (レス) id: fc991a18e7 (このIDを非表示/違反報告)
天さん - ユウギさん» な、なんと嬉しいお言葉を(´；ω；｀)ﾌﾞﾜｯありがとうございます！続編の方も頑張りますので！(*･ω･)*_ _)ﾍﾟｺﾘありがとうございました！！ (2017年3月17日 0時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天さん | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2017年1月30日 1時
